Uncertainty

わかったようでわからないことを書いています。

【2020】①The Feel Good Releases Of The Year

毎年、年の瀬が近づくと音楽好きの皆さんが挙って1年間で良かったアルバムなどを思い思いの形で共有していますね。

私は、1年間で聴いた音楽を、2つの部門に分けてまとめています。

①The Feel Good Releases Of The Year→1年間で良かったリリース(AL、EP、SG問わず)

②The Feel Good Records Of The Year→1年間で良く聴いたアルバム(当年リリース除く)

 

こちらでは、2020年の良かったリリースをまとめた「The Feel Good Releases Of The Year 2020」を発表していきます。

 

今回からこれまでの9枚選出の方式から、プレイリスト方式に変更。

だいたいリリース順に、アルバムで一番好きな曲をプレイリストにしています。

こちらからご試聴ください。↓

 

 

ここからはリストアップした各盤について、手短にご紹介させていただきます。

試聴する際のご参考にしていただけたら幸いです。

 

1.「さよならサバーバン」GAME CENTER

Rain City金沢のEmoバンド。今作から驚きの日本語詞に挑戦。Emoをルーツにしながら、日本人に馴染みやすいフォークの雰囲気漂うリード曲「さよならサバーバン」は切なくて思わず口ずさんでしまうメロディです。フジロックの若手登竜門「Rookie A Go-go」2020では猛者たちをかき分け、見事勝者6組に選出。今後の活躍がますます期待されるバンドです。

 

2.「Intimidation」Cold Hard Truth

UK産ビートダウンハードコア、4年ぶりとなる3rd。Nastyを中心にユーロ圏のビートダウン系を聴き漁っていて出会ったのですが、殺人的なブルータリティにぶっ飛ばされたことを覚えています。ゴリゴリにイカツいサウンド、どんどん落ちていくビートに脳内は完全にモッシュピット。好きな人はがっつりハマるやつです。

 

3.「C3」Base Ball Bear

2019年のEP2作のリリースから、待望のアルバムリリースとなったベボベ。「第3期」とも言えるタイトルを冠した今作は、現体制でできるすべてを詰め込んだ、等身大の1枚になっています。4つ打ちロックから、純粋なギターロックへと昇華したとも言える楽曲群に、ベボベらしさを感じながらも今までは聴けなかったアプローチもあったりして、こういうベボベも聴きたかった!と思わされる一面も。常に成長し続ける彼らの「今」を感じられる1枚です。

 

4.「Kiss from the darknessSCANDAL

こちらも常に成長し続ける最強バンドのニューリリースです。デビュー当初より長らく在籍したエピックを離れ、ビクター傘下でプライベートレーベル「her」を立ち上げた彼女たちの渾身の1作。新曲を出すたびに、彼女たちらしさを感じさせながらも常に新しいサウンドを提示してくれますが、やっていること自体は一貫しているようにも見えます。アルバム構成は、リードトラックや起用曲からメンバー曲、アルバム曲と、安定の内容。ボートラはどこか懐かしさを感じさせる雰囲気もあり、新旧ファンともに楽しめるアルバムになっています。

 

5.「The Other Side」MALEVOLENCE

2019年に来日を果たしたUK産ビートダウンハードコアのシングルリリース。わずか3曲のリリースですが、1曲1曲の存在感が半端ない。これまでのデスメタリックな技巧フレーズは残しつつもスマートに落としていく曲展開は圧巻。次世代ハードコアを間違いなく代表するクオリティです。今や売れっ子のKnocked LooseのVo.をFeatureした曲も収録されています。

 

6.「We Are The Sun!」TAMTAM

東京発フィールグッドなバンド、2年ぶりのアルバム。鎮座Dopenessをfeatureしたリードトラックから幕開けとなる今作は、ジャズ、レゲエ、R&B、アフロ…と彼ららしい多様性あふれるサウンド。とりわけ今回はレゲエ・フィーチャーな曲が多く並び、ダンスチューンもありながらもゆったり聴ける1枚。

 

7.「EVERYNIGHT」Age Factory

奈良が誇るロックバンド、移籍後初リリース。かつて傘下レーベル「DAIZAWA RECORDS」からきのこ帝国などを輩出したUK Projectから放つ今作は、ロックとパンク両方に影響を受けてきた彼らのすべてを曝け出した恐るべき内容。ELLEGARDENを彷彿とさせるポップパンクソングから、「誰も攻撃しない攻撃性」を纏ったハードコアチューン、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんをFeatureしたEmo/Post Rockソングまで、パンク好きのツボを各方面から永遠に突きまくる強烈なアルバムに仕上がっています。「未来」をしっかり見据えつつ、あらゆる角度から一貫して「刹那」について歌う彼らの表現から目が離せない。

 

8.「I know, right?」Ayuttheya

東京発オルタナバンドの3rd EP。Vo&Gtの太田美音は、今や有名人ほな・いこか(ゲスの極み乙女。)との2ピースバンド「マイクロコズム」のメンバー。Ba.はnenemの右田眞、サポートメンバーも東京インディ界隈の名だたるメンバーで活動を行ってきた。特にGt.はアラカワシ(deid、Veltpunch)や藤谷真吾(1inamillion/SLEEPLESS)と、Emo系のギタリストが名を連ねる。こうしたEmo/Post Rockを土台としたサウンドと、ポップに響く太田さんの歌声が特徴的。流行りとはちょっと違う感じだけど、思わず口ずさんでしまうような歌を求めてる人には絶対聴いてほしいバンド。

 

9.「To Myself」Baby Rose

ジョージア州アトランタ出身の R&Bシンガーソングライターの1st。低めながらふくよかで力強い歌声が、ニーナ・シモンサラ・ヴォーンを思わせると話題になっている25歳の超新星。彼女自身も作曲に携わっていますが、ポップになりすぎないメロディと、変拍子なども取り入れたエッジのある曲展開が秀逸。それでも全体的にChillな曲の雰囲気はここ最近の空気感に近いところを感じさせるので、とっつきやすさはあると思います。

 

10.「you'll be fine」Hot Mulligan

ミシガン州ランシング出身のEmo/Pop Punkの2nd。2nd Emoリバイバルの流れから、Emo/Pop Punkをハイブリッドしたサウンドを鳴らすバンドはGrayscaleなどが頭角を現すようになりましたが、そういったバンドの中でも際立っていたのがHot Mulliganでした。Emo/Pop Punkのブレンド感も絶妙なのですが、Vo.のしゃがれ声とリフの渋さ、そして音の抜き方が明らかに他のバンドを卓越しています。確かにクセはありますが、それがハマる人もいるんじゃないかと思います。

 

11.「California Cursed」DRAIN

カリフォルニアはサンタクルーズ産クロスオーバーの1st。スラッシュメタル・インフルエンスなザクザクリフにPower Tripが脳裏をよぎりますが、こちらは疾走系というよりかは、ニュースクール的なビートに重点を置いたハードコアをベースにしたサウンド。Vo.の叫びがエッジがあって聴きごたえあります。あのハードコア芸人ゆってぃも大推薦の1枚です!

 

12.「A Truth We Still Believe」Ecostrike

サウスフロリダ出身ユースクルーの2nd。USでは名門Triple-Bよりリリースですが、なんと日本限定でRetributeより初のCD盤リリースとなった1枚。Youth of Todayのカバーを収録しているだけあり、それはもうクラシックなユースクルースタイルなのですが、音作りがヘヴィでとても聴きごたえのあるサウンドに仕上がっています!オールドスクールは音が軽くて…という人も、これを聴けばユースクルーが好きになること間違いなし!

 

13.「Mukiltearth」The Fall of Troy

ワシントン州プログレッシブ・ポストハードコア、再結成後2作目となるアルバム。「Doppelganger」の頃と比べると、カオティックな展開は鳴りを潜め、プログレッシブではあるけど聴きやすい雰囲気になっています。しかし独特の変拍子リフやメロ感は健在で、俺たちのFall of Troy!を感じることができます。再結成後は自主製作でのリリースで、日本には音源の流通が全くないという厳しい状況…そのうち何とかして輸入します。

 

14.「No Blame... Just Facts」Pain of Truth

ロングアイランド産タフガイ/ビートダウンハードコアの1st EP。Out For Justice、Rain of Salvation等のメンバーによるバンドのデビュー作は、ヒップホップの影響が垣間見えるストリート感あふれるサウンドに仕上がっています。洗練されたサウンドよりもいなたい感じが好きな人に絶対おすすめします。Biohazard等好きな人にも!

 

15.「Pink Elephant」Stand Atlantic

オーストラリア産女性Vo.ポップパンクの2nd。ストレートなPop Punk/Pop Rock全開だった前作からかなり洗練されたサウンドで、バンドとして非常に大きな成長を感じさせる作品となっています。Vo.のエフェクトやアレンジとしてのシンセワークは、パンクの枠組みを超えてポップスとしても聴ける形に仕上がっていますし、モダンさをより引き立てる役割を担っています。グラミー賞にPop Punk部門があったら間違いなく受賞するレベルのクオリティです。

 

16.「20/20」Knuckle Puck

シカゴを代表するポップパンク、待望の3rd。前作からハードコア要素を抑えてPop PunkとしてEmo的な方向に洗練させた雰囲気ではありましたが、今作はその流れを汲んでよりエモーショナルさを増した内容になっています。先行リリースされていた数曲はまさにKP節なメロディやPop Punkのタテノリ的なビートが炸裂していますが、アルバム全体的に、メロやリフ、アルペジオのエモーショナルさに重点を置いている感じがあります。KPと言えばサビでビートが落ちる展開ですが、「Into the blue」のサビではそういう表現もできるのか!と、展開の美しさに圧倒されます。

 

17.「Big Vibe」Seaway

カナダ産ポップパンクの4th。前作から雰囲気が変わり、Pop PunkとIndie Rockのハイブリッドというか、Pop Punkにしては抜けたサウンド、Indie Rockにしてはパワフルみたいな感じで、歌メロが突き抜けてポップっていうもう唯一無二な彼ら。前作の方向性を汲みながら、ちょっと落ち着いた一面もある作風に仕上がっています。海岸線のドライブに持って来いな1枚。

 

18.「Young Culture」Young Culture

売れっ子State Champsの同郷、NY州オールバニー産ポップパンク/ポップロックの1st。待望のフルアルバムはs/t。個人的にもっと聴かれるべきと思っているバンド。メロのポップセンスとか、グルーヴ感がとにかく最高。その辺のフレームなぞってるバンドよりも良い曲書いてると思います。名門Equal Visionからのリリースなのですが、国内の流通が全くなくてとにかく音源が入手できないバンドでもあります(今回は公式から直輸入しました)。

 

19.「いいこのバースデーソング」植田真梨恵

アルバム「ハートブレイカー」のリリースもありましたが、個人的に刺さったのはこちらでした。植田さんバースデー25時間生配信にて即興で作り上げた1曲。ベース始まりのイントロが何ともドキドキしますし、シャッフルのハネるビートが誕生日の楽しさや喜びをうまく表現しています。やっぱり植田さんが書いた曲が聴きたいんだよなあと実 感した1曲でもあります。

 

20.「I Am Panda」Chiminyo

UKのジャズドラマーTim Doyleによるソロプロジェクト。ドラムセットとラップトップを同期させ、ドラマー1人で音を鳴らすというスタイル。彼が影響を受けているジャズやヒップホップにエレクトロのサウンドを加え、流行りのChill Hopとも異なる雰囲気の、オリジナルなグルーヴを生み出しています。ドラムが持つ音楽への可能性を大きく広げたスタイルはこれからも目が離せません。

 

21.「Scattering of My Malice」xEDENISGONEx

国籍不明、あらゆる詳細が一切不明、クラシカルなエッジメタルを鳴らす謎のプロジェクト。とあるハードコアのコンピの紹介には「from Japan」の表記がありましたが、その真偽は不明。サウンドはとにかくクラシカル、厳格なEdge Metal。ReprisalやMaroonを彷彿とさせるような単音リフ、ミリタント要素はめちゃくちゃ最高です。本当に2020年の作品か?と耳を疑うレベルのクオリティ。

 

22.「Paint My Memory」Somerset Thrower

ロングアイランド産インディパンクの2nd。ハードコアの名門Triple-Bからのリリースで、ジャケからしてハードコアではないことが一目瞭然でかなり???でしたが、メンバーのつながり的なものでのリリースだったようです。サウンドは、EmoやPop Punk、Post Hardcoreのグルーヴに、グランジ的なリフや気だるいボーカルをブレンドした感じ。ありそうでないスタイルが新鮮で面白いです。

 

23.「A Piff in Time: 2012-2016」Crucial Dudes

ニュージャージー産ポップパンクの編集盤。みんな大好きCrucial Dudesが2012~2016の間にシングルやスプリットに収録していた曲をまとめたものです。2011年の超名盤以降、まとまったリリースがなかった彼らの曲を聴ける貴重なリリース。1stのハードコア的な勢いは抑え気味。Vo.も叫びではなくメロディックに切なく歌い上げる感じで、全体的にEmo要素強めな雰囲気が漂っています。これはこれでアリ。

24.「No Pressure」No Pressure

The Story So FarのVo.、Parker Cannonを中心に、Light YearsやRegurate、Trail of lies等のメンバーで新たに結成されたバンド。語弊を恐れずに言うならば、TSSFのドラムをオールドスクールにした感じ。言葉にすると「なーんだそんなもんか」って感じですが、実際聴くとこういうバンドいないなと感じるし、Parkerのボーカルでこういうストレートなサウンド聴きたかったなって思います。そして驚異のICE GRILLSよりリリース。これは本当にすごい。

 

25.「Weight of the False Self」Hatebreed

俺たちのハードコア兄貴、コネチカットモッシュコア/メタルコアの9th。メタルの影響を受けながらもハードコアであり続ける彼らの最新作は、タフガイという言葉が本当に似合う。メタル的なアプローチを感じさせながらも、土台はNYHCなので落としがある曲もあれば、疾走パートもあるので間違いなし。こういった作風でコンスタントに作品を出し続けられるのは本当にすごいと思う。

 

26.「オレンジ / pray」赤い公園

率直に言えば津野さんきっかけということになりますが、新しいリリースがあったので聴いたらとても良い曲でした。大好きな小出さんと関係が深いバンドなので存在は知っていたし、石野さんが加入した時もびっくりしましたが…曲そのものが切ない曲なので、どうしても出来事と重ねて聴いてしまいがちですが、そういうものを抜きにしてメロディが綺麗で良いなと思いました。4月にリリースされたアルバムも良くて結構聴いていました。

 

27.「Cost of Sacrifice」Chamber

テネシー州ナッシュビル産カオティックメタルコアの1st。2019年リリースの編集盤はEarly Metalcore+カオティックといった感じでしたが、今作は一転してブルータルに、メタル度よりもハードコア度を大きく増した内容になっています。時折飛び込む疾走パートは健在ですが、全体的にBPMは落としめで、特に落としがビートダウン系のようにゆっくりとだんだんシフトチェンジしていくスタイルで、前作とは大きく異なるアプローチ。シビれます。

 

だいぶ長くなりましたが、気になる部分だけでも拾って参考にしていただけたら。

2021年も、皆さまのそばに良い音楽があらんことを。