2022年11月22日。
私はシルバー王女を探すため、クレヨン王国(熱海)へと出発した。
この日は移動日。
夕方に長岡を出て、十日町、津南を通って長野へと向かう。
費用の都合で、この日は長野の道の駅で車中泊して終わる。
翌朝、11月23日。
朝8時前に道の駅を出て、熱海へ向かう。
山梨を通過し、富士山の周りを縫っていき、まず初めに目指したのは十国峠。
ここにシルバー王女がいるが、参加権利となるスタンプラリーの台紙を購入できるのもこの場所だ。
十国峠はケーブルカーがあり、山々が色づくこの時期は特に美しい景観を眺めることができるのだが、
この日はシルバー王女も怒り出してしまいそうなほどの土砂降りだった。
ケーブルカーは諦めて、台紙を手に入れて1つ目のスタンプを求める。
フハハ、シルバー見つけたぞ!!(死神)
ここから、当初の計画を色々変更して、
MOA美術館、熱海手荷物預かり所、熱海シーサイドスパ&リゾートの3ヶ所でスタンプを入手。
MOA美術館は普通に券を買って、展示を見ながら隅々まで王女を探していたが、結局自分が入った入口と正反対の場所にバスで来た人たち用の入口があって、その端っこにちんまりとシルバー王女が佇んでいらっしゃった。
③熱海手荷物預かり所
④熱海シーサイドスパ&リゾート
ここで日帰り入浴したら、雨降りの露天風呂から「闇晦ましの城」が見えた。
とりあえず4つのスタンプを手に入れた。
この日は姫の沢公園にて車中泊して終了。
3日目、11月24日。
朝8時。昨日とはうって変わって気持ち良いほどの快晴。
姫の沢公園をフィルムカメラ片手にぐるぐると散策する。
思っていたよりも広く、黙々と歩いていたら熱海の街と面する湾を一望できるところまで辿り着いた。
写真を撮りながらも、慌ててビジターセンターへ向かい、5つ目のスタンプを。
そこからこの日は怒涛のように熱海の街を巡りに巡って、13個すべてのスタンプを手に入れる。
⑥来宮神社
7月の旅で、祭りの巫女を決めるよう神主から言われた王女がてんやわんやすることになった場所。
初詣とかお参りとかあまり行く方ではないのだけど、一応賽銭入れて手を合わせてきた。
12月1日からシルバー王女とクラウドのお守りが販売開始されたので、即ポチ。
⑦熱海市立図書館
クレヨン王国シリーズがある児童書コーナーは地上から1つ上の階に。
全然関係ないけど中島らも「バンド・オブ・ザ・ナイト」に目が留まり、しばしストップ。
長岡に戻ってから図書館で借りまくった。
ここからは、コインパーキングに車を停めて、徒歩で街を巡った。
⑧起雲閣
中に入らずともスタンプを入手できるのは知ってたけど、普通に入場料を払って中へ。
大正時代に建てられた西洋と異国情緒が折り重なった建築に、フィルムカメラのシャッターを切りまくった。
こういうの友達とかと行っても「ふーん」って感じだったけど、この建物の意匠は結構好みかも。
ぐるっと回ったけど王女の姿がどこにもなく、受付の人に聞いたら、今工事中の正門にあります、とのことで
行ってみたら工事現場の出入り口を仕切るシャッターの前に佇む王女。ここじゃなきゃダメ〜??(シルバー王女)
⑨熱海の癒 新かどや
ここの目的はスタンプだけではない。最大の目的はクレヨン王国展示会にあり。
多分この日で一番テンションが上がったかもしれない。
原作「クレヨン王国」シリーズの原画や、「夢のクレヨン王国」グッズ等が展示されていた。
この展示会が11月いっぱいの開催ということで、今回の旅を思い立ったのだ。
広める会の方?によれば東北や千葉等、全国各地からの来訪があったが、新潟からは初めてとのこと。
今回は諸般の事情で春夏の部の半分の展示となったのだそうで、まあ確かに思ってたより少なかったし、
カフェがあるんですよね?と聞いたら今回は展示会だけなのだということだった。
Twitter上で見かけた情報と違っていて真偽がわからないのだが、とりあえず初めてクレヨン王国が好きな人とクレヨン王国の話をできて良かった。
しっかり広める会にも入会。会員証をいただき、後日、住民票が届いた。
帰りにスタンプを押して次へ。
街の掲示板にもポスターが。
⑩秀花園 湯の花膳
ここには泊まれないので本当にスタンプだけ。
11.サンレモカフェ
海の写真を撮りながら、ここで一息。
12.つばき屋 佐藤油店
浜辺の公園を通りながら商店街へ。
マクバで買おうと思ってた日本酒を謎の使命感によりここで買う。
クリアファイルと3つ目の温泉まんじゅうも買った(すでに展示会で2つ買っている)。
13.芹沢百貨堂
クレヨン王国シリーズを取り揃えているという触れ込みだったが、聞けば「12ヶ月の旅」とかは人気で在庫がないということだった。
展示会の方が品揃え良かったぞ…
こうして、13の詫び証文(スタンプ)を揃えた俺は、再び海へ向かって歩みを進めた。
熱海市観光案内所でコンプリートされた3枚の台紙を見せ、ポスター、クリアファイル、ポストカードを1つずついただいた。
この日はトートバッグを肩に歩いていたが、いただいたポスターの頭がトートバッグから飛び出し、
さながら息を巻いてコミケを闊歩するオタクの気分で、熱海の商店街を歩いた。
それから間欠泉を見たり、梅園でなりかけの紅葉にシャッターを切ったりした。
この日はようやく宿に泊まれる日で、それでもまだチェックインまで時間があったが、流石に一日歩き回って疲れてきたので仮眠しようと、
街から15分ほど車で行った海沿いの公園に駐車した。
さーて休むかと思ったその時、運転席の窓を叩く音がする。
目を向けると、若い女性の警官が優しい表情でこちらを見ている。
その後ろには上司と思しき40代くらいの男性警官がいる。
「すみません、今パトロール中でして。ちょうど車内にいらっしゃったので、お声がけさせていただきました。ちょっとご協力いただいてよろしいですか?」
「はあ」
当たり前だが、俺は何もしていない。
ただ、シルバー王女を探して熱海の街を巡っていただけだ。
そうして車から降りるよう促され、降りたら今度は「所持品をこの中に」と袋の中に入れさせられた。
そしたら男性警官が俺の下半身に手を伸ばしてきたので、
「え、これテレビとかで見るヤク所持確認で股間触られるやつか?」と性的な意味での恐怖を感じていたら、
ポケットの中身を確認されただけで、「脅かすなよ!」という思いであった。
それから熱海に来た目的を話したり、免許や車内を確認されたりして、ただクレヨン王国を訪れただけのオタクであることが証明されたところで、彼らは「お邪魔してすみません。ご協力ありがとうございました」と去っていった。
俺は10月に初めて速度違反で点数切られて以来、なぜかポリスとの妙な縁を感じることがポツポツとある。
交通違反の罰金稼ぎはまあ海賊みたいなもんだと思っているが、パトロールは治安を守るためなのだから仕方がない。
クレヨン王国が平和で幸せな国であり続けるためならば、俺はいくらでも協力しよう。
そんな茶番をしているうちに良い時間になり、宿にインして旅のクライマックスは終わっていった。
最終日、11月25日。
朝8時に熱海を出発した。
2日目が嘘だったかのように、熱海は2日連続で快晴だった。
何一つ見えなかった富士山もよく見えて、あまりのデカさに運転しながらビビり倒した。
この日は丸1日をかけて移動した。
往路では夜・荒天で全くわからなかった景色が、復路ではまるで全てが見えるほど綺麗な景色で清々しかった。
長野の雄大な山々とその間に広がる田畑が、新潟では見られない光景で圧倒された。
行きに比べると運転中の心持ちがずいぶん軽くて、下道9時間も全く苦にならなかった。
この旅を計画していた時はただスタンプを手に入れることしか考えてなく、また観光商売には断じて乗らんぞ!と思っていたのだが、
実際に街を巡ってみると、思いの外楽しめる場所が色々あったし、それにクレヨン王国が結びついていることが楽しさを増幅させていたように思う。
協力店舗のやる気が…と感じる部分もままあって、春夏の部の方がもっと楽しめたのだろうなという印象であったのも正直なところではあるけど。
でも、アニバーサリーイヤーはまもなく終わるから、もしかすると今後ここまで大きなイベントに参加できないかもしれない。
純粋に楽しかった。
ありがとうクレヨン王国。僕はまたひとつ大人になった。