【2020】②The Feel Good Records Of The Year

年間ベストリリースに続いて、こちらでは2020年に個人的によく聴いたアルバムをまとめた「The Feel Good Records Of The Year」を発表していきます。

 

こちらからご試聴ください。↓

 

<各盤紹介>

1. 植田真梨恵「わかんないのはいやだ」(2015)

2020年はコピーをする機会があったこともあり、植田真梨恵イヤーと言ってもいいくらい、毎日聴いていました。アルバムよりもカップリングに好きな曲が多かったので自分で植田真梨恵専用プレイリストを作るほど。植田さんの特筆すべきは、心に迫る繊細かつ圧倒的な歌唱と、切なさを内包した純度の高いメロディ。バンドアレンジの曲も良いですが、植田さんの良いところを一番感じられるのはアコギやピアノの曲だなあと、聴くたびにしみじみ感じます。

 

2. Queensway「The Real Fear」(2019)

メリーランド州ボルチモアモッシュコア/ビートダウンの1st EP。2017年リリースの1stですでに話題になっていたバンド。シンプルな8ビートのパターンで攻めるスタイルで、引き算の音数が生み出すグルーヴはモッシュ必至。サウンドもVo.のスタイルもかなーりワルい感じで、ストリート感というかいなたい感じの、METALじゃないハードコアを聴きたい人に絶対おすすめ。

 

3. Renounced「Beauty is a Destructive Angel」(2019)

ロンドン産アーリーメタルコアの3rd。2020年2月に来日を果たした当バンドは、私のNo.1激推しバンド。Poison The WellやSkycamefalling等を思わす00's Metalcoreスタイルで、泣きの叙情メロや不協和音フレーズ、ブレイクダウンでニュースクーラーを感動と興奮の渦にブチ込んでくれます。時折Edge Metal的な単弦リフぽいリフを噛ませてくるところも最高。初期作はニュースクール感強めですが、2ndと今作は叙情感マシマシスタイルなのでお好きな方はぜひ。

 

4. Sanction「The Infringement of God's Plan」(2018)

ロングアイランド産アーリーメタルコアの1st mini。Edge Metalの厳格かつフューリーなリフワークと、ビートダウン系の落としを織り交ぜた、邪悪さあふれるスタイルが特徴。彼らも2020年2月に、売れっ子Knocked Looseとのツアーで来日を果たしています。

 

5. Nasty「Realigion」(2017)

ビートダウンハードコアの本場ベルギーの10年選手、6枚目のアルバム。M3.「At War With Love」を聴いて、ビートダウンハードコアに魅力を知り、沼に引きずり込まれていきました。とにかくシフトチェンジしてビートを落としていくこととサウンドの邪悪さでイカツさとワルさを追求しています。メンバーのガチな風貌にも思わず震え上がりますね。

 

6. GLIM SPANKY「SUNRISE JOURNEY」(2015)

松尾レミさんのしゃがれっぽい声と60、70年代のロックやブルースからの影響が色濃く反映されたサウンドが特徴的な2人組。最近ハマってると言ったら「今更」なんて言われましたが、トレンドに関係なく、古き良き音楽を継承しながら自分たちのサウンドを鳴らす姿勢はジャンル問わず素敵ですね。個人的に入りはこのアルバムでしたが、「grand port」みたいな亀本寛貴さんのブルースくさいギターが聴ける曲が好みです。

 

7. The Story So Far「Under Soil and Dirt」(2011)

カリフォルニア産ポップパンクのベテランによる1st。今の若手Pop Punkに絶大な影響を与えているバンド。国内だとフォーリミなんかもかなり影響受けてます。Vo. Parkerの声やメロにクセがあり、曲展開やグルーヴも独特の浮遊感があって、このバンドにしかない要素を理解するまでに時間を要しましたが、2018年リリースの最新作「Proper Dose」が洗練された内容でそこから一気にハマりました(歌詞がただのヤク中で笑いましたが)。シンガロング必至の名曲「Roam」は必聴!

 

8. TRIAL「Are These Our Lives?」(1999)

ワシントン州シアトル産ストレートエッジの1st。私は基本的に硬派なサウンドが好きなので、ポリティカル系は大好物。TRIALはハードコアの中でトップクラスに好きなバンドです。特に彼らはstop&goの展開が上手く、サウンドがヘヴィでユースクルー一辺倒になりすぎないところが最高。ポリティカル系特有のスポークンワーズ的な語りかけもあってなお良し。

 

9. Champion「Promises Kept」(2004)

こちらもシアトル産SxEの1st。超初期にTRIALのGt.が在籍していたこともあってか、同郷TRIALに通ずるものを感じます。ただこちらはモダンにアップデートしたとびきりのユースクルーサウンドで、とにかく感情のままに突っ走る!という感じです。解散ライブのDVD+CDが出てますが、youtubeでも見れるのでアツいライブを見たい人はぜひ。

 

10. Mar「Seeing Her Naked」(2012)

オランダの首都アムステルダム出身のアーティスト。情報がなさすぎて、何者なのか全然わからないし、「マー」なのか「メル」なのか読み方も不明。作品によってやってることが違うのですが、本作はChillなR&B、ジャズ、ヒップホップといった具合で、似たようなサウンドであふれる界隈の中で、聴きたいポイントをズバリ聴かせてくれる、かゆいところに手が届く的な内容です。E.SceneのVo.の人がおすすめしていたので間違いないです。

 

11. 宇多田ヒカル「First Love」(1999)

言わずもがな国民的R&B名盤。有名な数々の名曲はもちろんですが、テンテンコさんがツイートしていた「time will tell」を聴いたらめちゃくちゃよくてアルバムそのものをしっかり聴き直しました。宇多田が歌うとありきたりなことでも諭されてるように聞こえるからすごい。

 

12. 松たか子「空の鏡」(1997)

女優としても有名なこの方の記念すべき1st。小出さんが春をテーマに作ったプレイリストに「明日、春が来たら」が入っていて知りました。歌唱が素敵だし、曲展開が独特なものがあったりして面白い作品です。「lovesick」というベボベファンがピン!とくるような単語もあったり。ぜひ一度お試しあれ。

 

13. toconoma「NEWTOWN」(2017)

東京発週末インストジャムバンドの3rd。Key.、Gt.、Ba.、Dr.の4ピース構成。ジャズ、ダンス、テクノなど様々な要素を取り入れた、キレイめでゆらゆら踊れるスタイルの音楽。基本的にKey.がメロを弾くので、ビートはダンサブルでも美しく聴こえるのがこのバンドの特徴ですが、アルバムに1曲、このKey.がめちゃくちゃ切ないメロを弾く曲が入ってて、久石譲的なエモーションを掻き立てられるので好きです。

 

14 .Jimmy Eat World「Bleed American」(2001)

アリゾナ州出身、現存Emoゴッドの大ヒット4th。日本でもアサヒスーパードライのCMに起用され有名になった超名曲「Sweetness」が収録されています。Sunny Day Real  Estateの影響下でEmo化したこのバンドは、Emoキッズ御用達だった前作までの方向性から、本作でよりロック要素を増して広く親しまれるサウンドに進化しています。Emoというよりギターロックやパワーポップの側面が強くてあまりピンと来てなかったのですが、eastern youthの2マン企画「極東最前線」に出演した時(2001)の映像を見て、やべぇ...!となった次第です。

 

15. Rage Against The MachineRage Against The Machine」(1992)

言わずもがな伝説的ラップメタルの1st。Vo.のZack de la RochaはInside OutというSxEバンドでVo.をやっており、ハードコアの支持が厚いことでも知られています。学生時代から折に触れて聴くも全然理解できなかったシリーズでしたが、2020年6月に起きたBlack Lives Matterのニュースを見てモヤモヤしていた時に、たまたま誰かがツイートしていたRATMの曲を聴いたらすんなり入ってきたことを覚えています。カッコ良いんですけど、レッチリ以外の何物でもないのもまたこのバンドの面白いところ。空耳の名曲も多数生まれています。

 

16. jizue「grassroots」(2017)

京都出身ピアノインストジャムバンド。ピアノが奏でる流れるような美しい旋律と、全メンバーの卓越した技巧が生み出すグルーヴが特徴的。オーケストラとコラボしたライブも行っています。ロックのライブと言えばパッションですが、彼らの場合はそれだけでなく音による感情表現がとにかく豊か。鳥肌どころか涙してしまうくらいに感情を揺さぶるような、演奏力と表現力がずば抜けたバンドです。

 

17. Super American「Disposable」(2017)

NY州バッファロー産2ピースインディロックの2nd。Pop Punkルーツなインディロックとでも言いましょうか、勢いのあるPop Rock路線だった前作の面影を残しつつ、湿っぽすぎない、抜け感と浮遊感が心地よいインディロックを鳴らしています。WEEZER好きならぜひご一聴を。

 

18. Fugazi「13 Songs」(1989)

言わずもがなポストハードコアの開祖、1stダブルEPをまとめた編集盤。こちら長らく理解できなかったシリーズでございます。超名曲「Waiting Room」のライブ映像を何かの拍子で見たらかっけー!となったパターン。やっぱりパンク、ハードコアはライブがすべてを物語ると改めて実感させられたバンドです。

 

19. Remembering Never「Woman And Children Die First」(2004)

サウスフロリダ産叙情ニュースクール/アーリーメタルコアの3rd。叙情フレーズやビートダウンがキュンとくるブルータルな初期メタルコアスタイル。展開がカオティックぽかったり、サビでクリーンを入れたり、スポークンワーズを導入したりという要素も良い感じ。MAメタルやスクリーモポスコアが好きな人にもおすすめです。 

 

20. Shattered Realm「Broken Ties... Spoken Lies」(2002)

ニュージャージー産アーリーメタルコアの1st。極悪ビートダウンをベースにしたスタイルと、Edge Metalまでも彷彿とさせるようなSlayerインフルエンスのリフワークが特徴。Thugい雰囲気でメタルぽさもあるハードコアを聴きたいならコレ。

 

21. On Broken Wings「Some of Us May Never See the World」(2003)

マサチューセッツ州ボストン産アーリーメタルコアの2nd。最近のバンドだとAttilaが影響を公言しています。叙情パートやサビでのクリーン導入など、前出のRemembering Neverに近いスタイルではありますが、こちらはカオティックな展開というより、とにかくビートダウンしまくります。なぜかは知りませんがモッシュを煽りまくって狂乱暴行ピットを作りたかった、という意図があったとかないとか。そんなわけでライブの評判はあまり良くなかったらしいですが、音源聴く分には凶悪で最高なのでぜひ。

 

22. Morning Again「Hand of the Martyr」(2002)

フロリダ産伝説的叙情ニュースクール/エッジメタル、おまとめ盤のおまとめ盤(ライブ音源のおまけつき)。「Hand of Hope」(おまとめ盤)と「Martyr」(mini)の曲を収録。実はこの2枚の間にVo.が交代しており、その影響なのか元々の音源ごとにサウンドが異なります。「Hand of Hope」はEarth Crisis影響下のニュースクール一色ですが、「Martyr」の曲はブラストビート+単弦リフが飛び出すなど、一気にEdge Metal化しています。ただ、彼ら特有のトライバルな雰囲気は共通。私はどちらも好き。

 

23. Reprisal「Boundless Human Stupidity」(2000)

イタリア産エッジメタルの2nd。16分刻みの単弦リフ、ブラストビート、デスメタリックな低音スクリームとEdge Metalと言えばコレ!な、ど真ん中の名盤です。Edge Metalを漁っていると、あれ...これもイタリア、こいつらもイタリア!となるくらいイタリアはEdge Metalの宝庫。ベルギーやドイツが本場という気もしますが、いずれにしてもユーロ圏での交流は盛んだったのでしょうね。

 

24. 7 Angels 7 Plagues「Jhazmine's Lullaby」(2001)

ウィスコンシン州出身伝説的叙情アーリーメタルコアの超名盤1st。はっきり言って最強です。叙情パートやビートダウンはもちろん最高なのですが、彼らの特筆すべきは曲展開にあります。目まぐるしく変化するカオティック系かと思いきや、モッシュパートを用意しつつ最後は叙情フレーズで儚く消えていくという、ドラマティックで美しい展開が待っています。その素晴らしさを理解した時、メタルコアの真髄を見てしまったと打ちのめされました。解散後、一部メンバーは「メタルコアの究極形」と名高いMisery Signalsを結成しています。

 

25. Adamantium「From the Depths of Depression」(1998)

カリフォルニア州オレンジカウンティ産ニュースクール/メタルコアの1st。駆け出しニュースクーラーの今の知識だと、この手のバンドは東側に多いイメージなので、18 VisionsやScars of Tomorrow、Throwdownなどのカリフォルニアのバンドは聴くと「あ、なんか違う...」となります。具体的には、音作りやリフにどこか特徴を感じるのですが、彼らもその一つ。ブルータルでモッシュパートもありながらどこか独特さを感じるサウンドを聴かせてくれます。2ndでは叙情化していてこれもまた良し。

 

26. Endthisday「Sleeping Beneath The Ashes Of Creation」(2002)

ウィスコンシン州出身アーリーメタルコアの1st。世間一般に知られているメタルコアにより一層近づいたサウンドで、メロデス由来の叙情的なフレーズやツタツタと駆け抜ける疾走パートが何とも爽快。ニュースクールを土台としているのでビートダウン、ブレイクダウンもばっちり。デモ期に在籍していたVo.は、のちに7A7Pに加入しています。

 

27. As Hope Dies「Legions Bow To A Faceless God」(2003)

オレンジカウンティ産アーリーメタルコアの1st。これはまさに初期メタルコアということで、メロデス由来の単音リフや疾走パートに「メタルコアってこれよね!」と感じる人も少なくないのでは。時折Edge Metal的な16分刻み単弦リフを織り交ぜてくるのも最高。Endthisdayと近しい音楽性ですが、こちらの方がよりメロデス的な「クサさ」を味わえるかと思います。やはりカリフォルニアのニュースクール系譜のバンドはメタル色が強いなと感じますね。

 

28. 中山美穂「Jeweluna」(1990)

延々とハードコアを紹介しておいて最後にこちら。最近新譜リリースに伴い、サブスク解禁となりました。その中で特に良かったのがこちら12th。R&Bやジャズ、ヒップホップの要素を取り入れながら、80年代と90年代の狭間のようなサウンドがとても心地よいアルバムです。

 

ということで8割方ハードコアに染まってしまいましたが、それ以外のアーティストも最高なのでぜひご一聴いただけたらと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

【2020】①The Feel Good Releases Of The Year

毎年、年の瀬が近づくと音楽好きの皆さんが挙って1年間で良かったアルバムなどを思い思いの形で共有していますね。

私は、1年間で聴いた音楽を、2つの部門に分けてまとめています。

①The Feel Good Releases Of The Year→1年間で良かったリリース(AL、EP、SG問わず)

②The Feel Good Records Of The Year→1年間で良く聴いたアルバム(当年リリース除く)

 

こちらでは、2020年の良かったリリースをまとめた「The Feel Good Releases Of The Year 2020」を発表していきます。

 

今回からこれまでの9枚選出の方式から、プレイリスト方式に変更。

だいたいリリース順に、アルバムで一番好きな曲をプレイリストにしています。

こちらからご試聴ください。↓

 

 

ここからはリストアップした各盤について、手短にご紹介させていただきます。

試聴する際のご参考にしていただけたら幸いです。

 

1.「さよならサバーバン」GAME CENTER

Rain City金沢のEmoバンド。今作から驚きの日本語詞に挑戦。Emoをルーツにしながら、日本人に馴染みやすいフォークの雰囲気漂うリード曲「さよならサバーバン」は切なくて思わず口ずさんでしまうメロディです。フジロックの若手登竜門「Rookie A Go-go」2020では猛者たちをかき分け、見事勝者6組に選出。今後の活躍がますます期待されるバンドです。

 

2.「Intimidation」Cold Hard Truth

UK産ビートダウンハードコア、4年ぶりとなる3rd。Nastyを中心にユーロ圏のビートダウン系を聴き漁っていて出会ったのですが、殺人的なブルータリティにぶっ飛ばされたことを覚えています。ゴリゴリにイカツいサウンド、どんどん落ちていくビートに脳内は完全にモッシュピット。好きな人はがっつりハマるやつです。

 

3.「C3」Base Ball Bear

2019年のEP2作のリリースから、待望のアルバムリリースとなったベボベ。「第3期」とも言えるタイトルを冠した今作は、現体制でできるすべてを詰め込んだ、等身大の1枚になっています。4つ打ちロックから、純粋なギターロックへと昇華したとも言える楽曲群に、ベボベらしさを感じながらも今までは聴けなかったアプローチもあったりして、こういうベボベも聴きたかった!と思わされる一面も。常に成長し続ける彼らの「今」を感じられる1枚です。

 

4.「Kiss from the darknessSCANDAL

こちらも常に成長し続ける最強バンドのニューリリースです。デビュー当初より長らく在籍したエピックを離れ、ビクター傘下でプライベートレーベル「her」を立ち上げた彼女たちの渾身の1作。新曲を出すたびに、彼女たちらしさを感じさせながらも常に新しいサウンドを提示してくれますが、やっていること自体は一貫しているようにも見えます。アルバム構成は、リードトラックや起用曲からメンバー曲、アルバム曲と、安定の内容。ボートラはどこか懐かしさを感じさせる雰囲気もあり、新旧ファンともに楽しめるアルバムになっています。

 

5.「The Other Side」MALEVOLENCE

2019年に来日を果たしたUK産ビートダウンハードコアのシングルリリース。わずか3曲のリリースですが、1曲1曲の存在感が半端ない。これまでのデスメタリックな技巧フレーズは残しつつもスマートに落としていく曲展開は圧巻。次世代ハードコアを間違いなく代表するクオリティです。今や売れっ子のKnocked LooseのVo.をFeatureした曲も収録されています。

 

6.「We Are The Sun!」TAMTAM

東京発フィールグッドなバンド、2年ぶりのアルバム。鎮座Dopenessをfeatureしたリードトラックから幕開けとなる今作は、ジャズ、レゲエ、R&B、アフロ…と彼ららしい多様性あふれるサウンド。とりわけ今回はレゲエ・フィーチャーな曲が多く並び、ダンスチューンもありながらもゆったり聴ける1枚。

 

7.「EVERYNIGHT」Age Factory

奈良が誇るロックバンド、移籍後初リリース。かつて傘下レーベル「DAIZAWA RECORDS」からきのこ帝国などを輩出したUK Projectから放つ今作は、ロックとパンク両方に影響を受けてきた彼らのすべてを曝け出した恐るべき内容。ELLEGARDENを彷彿とさせるポップパンクソングから、「誰も攻撃しない攻撃性」を纏ったハードコアチューン、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんをFeatureしたEmo/Post Rockソングまで、パンク好きのツボを各方面から永遠に突きまくる強烈なアルバムに仕上がっています。「未来」をしっかり見据えつつ、あらゆる角度から一貫して「刹那」について歌う彼らの表現から目が離せない。

 

8.「I know, right?」Ayuttheya

東京発オルタナバンドの3rd EP。Vo&Gtの太田美音は、今や有名人ほな・いこか(ゲスの極み乙女。)との2ピースバンド「マイクロコズム」のメンバー。Ba.はnenemの右田眞、サポートメンバーも東京インディ界隈の名だたるメンバーで活動を行ってきた。特にGt.はアラカワシ(deid、Veltpunch)や藤谷真吾(1inamillion/SLEEPLESS)と、Emo系のギタリストが名を連ねる。こうしたEmo/Post Rockを土台としたサウンドと、ポップに響く太田さんの歌声が特徴的。流行りとはちょっと違う感じだけど、思わず口ずさんでしまうような歌を求めてる人には絶対聴いてほしいバンド。

 

9.「To Myself」Baby Rose

ジョージア州アトランタ出身の R&Bシンガーソングライターの1st。低めながらふくよかで力強い歌声が、ニーナ・シモンサラ・ヴォーンを思わせると話題になっている25歳の超新星。彼女自身も作曲に携わっていますが、ポップになりすぎないメロディと、変拍子なども取り入れたエッジのある曲展開が秀逸。それでも全体的にChillな曲の雰囲気はここ最近の空気感に近いところを感じさせるので、とっつきやすさはあると思います。

 

10.「you'll be fine」Hot Mulligan

ミシガン州ランシング出身のEmo/Pop Punkの2nd。2nd Emoリバイバルの流れから、Emo/Pop Punkをハイブリッドしたサウンドを鳴らすバンドはGrayscaleなどが頭角を現すようになりましたが、そういったバンドの中でも際立っていたのがHot Mulliganでした。Emo/Pop Punkのブレンド感も絶妙なのですが、Vo.のしゃがれ声とリフの渋さ、そして音の抜き方が明らかに他のバンドを卓越しています。確かにクセはありますが、それがハマる人もいるんじゃないかと思います。

 

11.「California Cursed」DRAIN

カリフォルニアはサンタクルーズ産クロスオーバーの1st。スラッシュメタル・インフルエンスなザクザクリフにPower Tripが脳裏をよぎりますが、こちらは疾走系というよりかは、ニュースクール的なビートに重点を置いたハードコアをベースにしたサウンド。Vo.の叫びがエッジがあって聴きごたえあります。あのハードコア芸人ゆってぃも大推薦の1枚です!

 

12.「A Truth We Still Believe」Ecostrike

サウスフロリダ出身ユースクルーの2nd。USでは名門Triple-Bよりリリースですが、なんと日本限定でRetributeより初のCD盤リリースとなった1枚。Youth of Todayのカバーを収録しているだけあり、それはもうクラシックなユースクルースタイルなのですが、音作りがヘヴィでとても聴きごたえのあるサウンドに仕上がっています!オールドスクールは音が軽くて…という人も、これを聴けばユースクルーが好きになること間違いなし!

 

13.「Mukiltearth」The Fall of Troy

ワシントン州プログレッシブ・ポストハードコア、再結成後2作目となるアルバム。「Doppelganger」の頃と比べると、カオティックな展開は鳴りを潜め、プログレッシブではあるけど聴きやすい雰囲気になっています。しかし独特の変拍子リフやメロ感は健在で、俺たちのFall of Troy!を感じることができます。再結成後は自主製作でのリリースで、日本には音源の流通が全くないという厳しい状況…そのうち何とかして輸入します。

 

14.「No Blame... Just Facts」Pain of Truth

ロングアイランド産タフガイ/ビートダウンハードコアの1st EP。Out For Justice、Rain of Salvation等のメンバーによるバンドのデビュー作は、ヒップホップの影響が垣間見えるストリート感あふれるサウンドに仕上がっています。洗練されたサウンドよりもいなたい感じが好きな人に絶対おすすめします。Biohazard等好きな人にも!

 

15.「Pink Elephant」Stand Atlantic

オーストラリア産女性Vo.ポップパンクの2nd。ストレートなPop Punk/Pop Rock全開だった前作からかなり洗練されたサウンドで、バンドとして非常に大きな成長を感じさせる作品となっています。Vo.のエフェクトやアレンジとしてのシンセワークは、パンクの枠組みを超えてポップスとしても聴ける形に仕上がっていますし、モダンさをより引き立てる役割を担っています。グラミー賞にPop Punk部門があったら間違いなく受賞するレベルのクオリティです。

 

16.「20/20」Knuckle Puck

シカゴを代表するポップパンク、待望の3rd。前作からハードコア要素を抑えてPop PunkとしてEmo的な方向に洗練させた雰囲気ではありましたが、今作はその流れを汲んでよりエモーショナルさを増した内容になっています。先行リリースされていた数曲はまさにKP節なメロディやPop Punkのタテノリ的なビートが炸裂していますが、アルバム全体的に、メロやリフ、アルペジオのエモーショナルさに重点を置いている感じがあります。KPと言えばサビでビートが落ちる展開ですが、「Into the blue」のサビではそういう表現もできるのか!と、展開の美しさに圧倒されます。

 

17.「Big Vibe」Seaway

カナダ産ポップパンクの4th。前作から雰囲気が変わり、Pop PunkとIndie Rockのハイブリッドというか、Pop Punkにしては抜けたサウンド、Indie Rockにしてはパワフルみたいな感じで、歌メロが突き抜けてポップっていうもう唯一無二な彼ら。前作の方向性を汲みながら、ちょっと落ち着いた一面もある作風に仕上がっています。海岸線のドライブに持って来いな1枚。

 

18.「Young Culture」Young Culture

売れっ子State Champsの同郷、NY州オールバニー産ポップパンク/ポップロックの1st。待望のフルアルバムはs/t。個人的にもっと聴かれるべきと思っているバンド。メロのポップセンスとか、グルーヴ感がとにかく最高。その辺のフレームなぞってるバンドよりも良い曲書いてると思います。名門Equal Visionからのリリースなのですが、国内の流通が全くなくてとにかく音源が入手できないバンドでもあります(今回は公式から直輸入しました)。

 

19.「いいこのバースデーソング」植田真梨恵

アルバム「ハートブレイカー」のリリースもありましたが、個人的に刺さったのはこちらでした。植田さんバースデー25時間生配信にて即興で作り上げた1曲。ベース始まりのイントロが何ともドキドキしますし、シャッフルのハネるビートが誕生日の楽しさや喜びをうまく表現しています。やっぱり植田さんが書いた曲が聴きたいんだよなあと実 感した1曲でもあります。

 

20.「I Am Panda」Chiminyo

UKのジャズドラマーTim Doyleによるソロプロジェクト。ドラムセットとラップトップを同期させ、ドラマー1人で音を鳴らすというスタイル。彼が影響を受けているジャズやヒップホップにエレクトロのサウンドを加え、流行りのChill Hopとも異なる雰囲気の、オリジナルなグルーヴを生み出しています。ドラムが持つ音楽への可能性を大きく広げたスタイルはこれからも目が離せません。

 

21.「Scattering of My Malice」xEDENISGONEx

国籍不明、あらゆる詳細が一切不明、クラシカルなエッジメタルを鳴らす謎のプロジェクト。とあるハードコアのコンピの紹介には「from Japan」の表記がありましたが、その真偽は不明。サウンドはとにかくクラシカル、厳格なEdge Metal。ReprisalやMaroonを彷彿とさせるような単音リフ、ミリタント要素はめちゃくちゃ最高です。本当に2020年の作品か?と耳を疑うレベルのクオリティ。

 

22.「Paint My Memory」Somerset Thrower

ロングアイランド産インディパンクの2nd。ハードコアの名門Triple-Bからのリリースで、ジャケからしてハードコアではないことが一目瞭然でかなり???でしたが、メンバーのつながり的なものでのリリースだったようです。サウンドは、EmoやPop Punk、Post Hardcoreのグルーヴに、グランジ的なリフや気だるいボーカルをブレンドした感じ。ありそうでないスタイルが新鮮で面白いです。

 

23.「A Piff in Time: 2012-2016」Crucial Dudes

ニュージャージー産ポップパンクの編集盤。みんな大好きCrucial Dudesが2012~2016の間にシングルやスプリットに収録していた曲をまとめたものです。2011年の超名盤以降、まとまったリリースがなかった彼らの曲を聴ける貴重なリリース。1stのハードコア的な勢いは抑え気味。Vo.も叫びではなくメロディックに切なく歌い上げる感じで、全体的にEmo要素強めな雰囲気が漂っています。これはこれでアリ。

24.「No Pressure」No Pressure

The Story So FarのVo.、Parker Cannonを中心に、Light YearsやRegurate、Trail of lies等のメンバーで新たに結成されたバンド。語弊を恐れずに言うならば、TSSFのドラムをオールドスクールにした感じ。言葉にすると「なーんだそんなもんか」って感じですが、実際聴くとこういうバンドいないなと感じるし、Parkerのボーカルでこういうストレートなサウンド聴きたかったなって思います。そして驚異のICE GRILLSよりリリース。これは本当にすごい。

 

25.「Weight of the False Self」Hatebreed

俺たちのハードコア兄貴、コネチカットモッシュコア/メタルコアの9th。メタルの影響を受けながらもハードコアであり続ける彼らの最新作は、タフガイという言葉が本当に似合う。メタル的なアプローチを感じさせながらも、土台はNYHCなので落としがある曲もあれば、疾走パートもあるので間違いなし。こういった作風でコンスタントに作品を出し続けられるのは本当にすごいと思う。

 

26.「オレンジ / pray」赤い公園

率直に言えば津野さんきっかけということになりますが、新しいリリースがあったので聴いたらとても良い曲でした。大好きな小出さんと関係が深いバンドなので存在は知っていたし、石野さんが加入した時もびっくりしましたが…曲そのものが切ない曲なので、どうしても出来事と重ねて聴いてしまいがちですが、そういうものを抜きにしてメロディが綺麗で良いなと思いました。4月にリリースされたアルバムも良くて結構聴いていました。

 

27.「Cost of Sacrifice」Chamber

テネシー州ナッシュビル産カオティックメタルコアの1st。2019年リリースの編集盤はEarly Metalcore+カオティックといった感じでしたが、今作は一転してブルータルに、メタル度よりもハードコア度を大きく増した内容になっています。時折飛び込む疾走パートは健在ですが、全体的にBPMは落としめで、特に落としがビートダウン系のようにゆっくりとだんだんシフトチェンジしていくスタイルで、前作とは大きく異なるアプローチ。シビれます。

 

だいぶ長くなりましたが、気になる部分だけでも拾って参考にしていただけたら。

2021年も、皆さまのそばに良い音楽があらんことを。

『mid90s』-大人と子どもの境目と成熟

f:id:FxSxB:20201115105503j:image

この作品をずっと観たくて待っていた。

当時のストリートで聴かれていた音楽がたくさん盛り込まれているということで、公開前から話題になっていたし、それで興味を持った。

 

私はパンクやハードコアが好きなので、そこに当事者として身を置きたいと思ったことはないが、ストリートにおける生活や文化がどういったものなのか、覗いてみたい気持ちがあった。

 

涙を流すことはなかったのだが、見終わったあとは心が涙で溢れていて、泣いているような感覚になった。

 

13歳の少年スティーヴィーの目線で物語は進んでいくが、登場人物全員に共通していたのは、家庭環境に何かしらの問題を抱えているということ。そして、そこから逃げ出したいという気持ちから、決して他人から褒められることはないようなことを日常的に繰り返しているということだ。

 

特に注目すべきは、ここには大人も子どもも、どちらも含まれているという点である。

 

ティーヴィーが憧れたレイやFUCKSHITたちがやっていた非行は、彼らにとっては「大人」であることを自他共に誇示するための行為であったように感じられた。

だが、同時にそれはそういった手段を使わなければ「大人」であることを示すことができないという点で、自分はまだ「子ども」であるということを逆説的に表していると言える。

ところが、一部の登場人物に関してはその手段を使っても「大人」にはなれないことを理解している(し始めている)ことが示唆されていた。

例えば、一通り経験したスティーヴィーが、殴りかかろうとする兄イアンに「友達も女もいないくせに偉そうにするな!」と抵抗したあと、ファミコンのコントローラーのコードで自分の首を絞めるシーンがあった。ここには、イアンを傷つけたことに対する自己嫌悪はもちろんそうだが、自分が経験してきた非行に心のどこかでは後ろめたさを感じながらも、それでしかイアンに対抗することができないという、自分の弱さに対する自己嫌悪も含まれていたのではないかと思う。

また、レイの内面的な部分がスティーヴィーとの関係を通じて変化していく様子は非常に印象的であった。スティーヴィーの純粋さと、そして2度の大事故を目の当たりにして、自分たちがしていることがスティーヴィーにとって本当は良くないことなのだということを悟っていたのだと思う。それゆえに出たのが、最後のシーンのセリフだった。お前のためにならない、なんてことは「大人」でなければ言えないことだなと思う。まさにこれはレイ自身の成長を最後に示したシーンだった。あの後、レイのあの言葉を受けて、スティーヴィーはどうしたのだろう。

 

 一方で、スティーヴィーの母親は、2人の息子の親であるというまさに「大人」のステータスを持っているわけだが、代わる代わる息子たちが知らぬ男を連れ込んでは、上手くいかずに口論となり、また新しい男を連れ込む...ということを繰り返している。

しかし、夜な夜な遊び歩くスティーヴィーの身を案じたり、レイたちをギャング呼ばわりしてスティーヴィーから引き離そうとしたりしたことから、少し過保護にも見えるが、母親の性格は真面目で「大人」としての振る舞いをしていたと言える。

とは言え、イアンの言うように、以前の母親はもっと遊び人であったということを考えると、母親はあくまで「大人」のステータスを形式的に保持しているというだけで、実際のところ、本人自身は「大人」になりきれていなかったのではないかと考えられる。

 

このように、「子ども」でありながら、自分のしていることを「子ども」だと理解している人もいれば、「大人」として振る舞いながらも、「子ども」のような行為から抜け出せない人もいる。こうして考えると、「大人」「子ども」という概念はその人のヒューマンスキルのレベルを表すものであり、社会的なステータスのように一元的に当てはめられるものではないということがわかる。ヒューマンスキルには、自分の感情や考えを伝える力や、相手の立場に立って話を聞く力など、対人関係に関する様々な能力が含まれる。それぞれ人によって得意不得意があるため、「大人」と「子ども」両方のレベルを持ち合わせる、というケースが発生するのである。

 

本作のレビューをいくつか拝見した中で、一つ気になったことがある。

それは、イアンが暴力を振るうことについて、「意味もなく」「衝動的に」暴力を振るうと表現しているレビューが複数あったことである。

なぜイアンが暴力を振るうかと言えば、彼の家庭環境がその背景にあることはもはや自明のことである。しかしながら、作中では何の前触れもなく、突然スティーヴィーに襲い掛かるのでそのように映るのだと思われる。

私自身も突然襲い掛かるという点については疑問を感じていたのだが、わけもなく突発的に暴力を振るう人がいるとしたら、尚更それには一般的に考えられるよりも深い背景があるのではないかと思う。これは全く描写されていなかったのであくまで推測でしかないが、恐らく日常の中でイアンが暴力を振るってしまうトリガーが何かしらあるのではないだろうか。

そのトリガーが具体的に何だったのかはわからないが、いずれにしても彼の行為の背景に家庭環境の問題があることは確かであり、彼自身もスティーヴィーにそのことを打ち明けている。これについて、あるレビューでは「姑息な告げ口」と捉えていて、非常に強い違和感を覚えた。

確かにイアンの暴力はスティーヴィーにとっては息苦しさの要因になっているが、だからと言って、スティーヴィーはイアンのことを嫌悪しているわけではないし、対立関係にあったわけでもない。プレゼントをあげたり、時には母親の金を盗るために協力をお願いするくらいである。一方のイアンも、スティーヴィーが嫌いで意地悪したいから暴力を振るっているのかというと、そうは捉えられないと私は思う。スティーヴィーが物心つくまでの間に様々なストレスを一人で抱えてきたがゆえに、スティーヴィーの存在を認められない気持ちが強く、素直になれないのだと思われる。でなければ、過去の話を打ち明けたりしないのではないか(2人が異母兄弟であるからとする見方もある)。

 

あくまで作品の話であって、その内容をどう捉えるかは各個人に委ねられておりますので。

 

作品全体としては、90年代のストリートカルチャーをリアリティをもって感じられたのが面白かった。人種関係なく、それぞれの事情にきついジョークを交えながらも理解を示そうとする様子はまさに象徴的だった。

レイとFUCKSHITの出会いもそうだが、表現は不器用ながらも、心の中では相手のことを思いながら接してきたことで居場所ができていったわけで、やっぱりそういう関係性にグッときてしまう。

ただ、やはり非行と家庭環境の問題は関係が深いと改めて感じるし、その元凶を生み出しているのは紛れもなく親であり「大人」である。しかしながら、ストリートに繰り出した彼らのような存在がいなかったら、自分が好きな文化も生まれなかったと思うと、なんとも複雑な気持ちである。

 

本作はわかりやすく「青春映画」と表されることが多く、若き日の苦悩と葛藤、楽しかった日々...言葉としては確かに間違いではないのだが、そんなにキラキラしたものではないし、彼らが抱えている問題はかなり根深いものである。

ストリートの生き様と言えばカッコ良いけど、日の当たらない部分を含めた、そこで生きる彼らのリアリティが映し出された作品であった。

百磐 純米吟醸(磐乃井酒造/岩手・花泉)

ここ1ヶ月はちょっとした変化があったりして、じっくりと酒を味わう時間が持てず、気づけばブログ更新もお久しぶりに...

 

今週はまた1つ歳を重ねたこともあり、日本酒ストックを開けることにしました。

 

今回の酒はこちら。

岩手県一関市花泉の酒蔵、磐乃井酒造の「百磐 純米吟醸」です。

f:id:FxSxB:20201025153721j:image

 

今年の年始に地元へ帰省した時に購入したものです。

岩手の酒というと、メジャーどころだとあさ開や菊の司、酒好きに好まれるところなら喜久盛や赤武といった蔵元があります。

 

帰省するにあたって、買いたい酒をあらかじめ調べていったのですが、最終的に購入したのが赤武 純米大吟醸 生酒と、この百磐でした。

 

「百磐」という銘柄は、磐乃井酒造の限定流通品で、青、橙、黄、赤の4種があります。各種、生酒や火入、おりがらみとバリエーションの展開が異なります。

 

今回のものは、「百磐 純米吟醸 黄 火入」です。

f:id:FxSxB:20201025141736j:image

原材料等の表示はこんな感じ。

酒米岩手県産ぎんおとめ100%、酵母は「ゆうこの想い」なるものを使用しています。

 

岩手県は「オリジナル」にこだわりがあるようで、酒造組合と県工業技術センターが開発した原材料が広く流通しています。

 

酒造好適米

「吟ぎんが」(吟醸酒用)

「ぎんおとめ」(純米酒本醸造用)

「結の香」(大吟醸用)

 

酵母

「ゆうこの想い」(柔らかでふくよかな味わい)

「ジョバンニの調べ」(華やかで繊細な味と香り)

 

といったものがあります。

 

岩手ってこんなに酒造りに熱心だったんだなぁ...

この歳になって地元の良いところを新たに知りました(笑)。

 

さあ、御託並べはここまでにして早く飲みましょう。

猪口に注ぐとこんな感じ。

f:id:FxSxB:20201025150127j:image

写真だとわかりにくいですが、黄色みがかっています。

ラベルにも表記がありましたが、製造は2019年7月です。

 

猪口を鼻に近づけると、フルーティな吟醸香

 

いざ、実飲...

 

やはり純米吟醸、口に含むとフルーティな味わいと同時に、キリッとした辛口の味わいが広がります。

新潟淡麗にすっかり慣れてしまった舌も、このキレのある辛口には唸りました。

 

そしてさらに、ドライなキレ感のあとに、ふんわりと米の味わいを感じられます。

なるほどこれが「ゆうこの想い」...

 

辛口と言いながら単なる強いアルコール感に終わるだけ、という酒が少なくないですが、これは米や酵母が醸す味わいが、しっかりとキレのあるドライな風味を下支えしていると感じました。

この百磐は辛口というスタイルでなかなかバランスの取れた一本に仕上がっています。

 

ただ、最後に飲んだ日本酒が「緑川 北穣吟醸」だったので、米の「旨味」という点ではかなり異なる部分があるなということも思いました。

これは酒造好適米の特徴でもあるので、こだわりの強い岩手県産米を今後も味わってその特徴を掴んでいきたいですね。

 

まあでも、新潟の米の「旨味」のすごさと「雑味」のなさに敵うものはなかなかないのが正直なところ。

それを日常的に口にできることで覚える違和感というのは、罪だな〜と思いました(笑)。

旨味があれば確かに美味いけど、それだけがすべてじゃないので、色んな味を知っていく、というスタンスは忘れずにいたいところです。

 

プレミアムモルツ ダイヤモンドの恵み(サントリー)

今回は缶ビール界のエリート、プレモルの数量限定「プレミアムモルツ ダイヤモンドの恵み」を飲みました。

f:id:FxSxB:20200913205723j:image

 

 

私は元キリン派・現サッポロ派なので、

こないだの秋ビールのように季節品でなければプレモルを飲むことはないのですが、

今回は何やら通常とは少し装いが異なるようで何となく目に留まり、飲んでみることに。

 

正直ふだん飲まないので、定番品との違いがあまりよくわからない...

 

見たところ、色合いは定番品と同じ。

ホップの華やかな香りがフワッと鼻を抜けます。

飲むとやはりホップ押しなので、華やかなホップの風味が広がり、軽やかに流れていきます。

苦味が全然なく、とても軽やかな飲み口です。

そしてその後、アルコール感のような酸味が強く感じられました。

 

だからと言ってクセがあるわけではなく、全体としてはキレがあってスッキリと飲みやすい味わいに仕上がっています。

 

他の邪魔をしない味わいなので食中酒にピッタリだし、最近ビールを飲めるようになった!という方に飲んでみていただきたい一本です。

 

「ダイヤモンドホップとダイヤモンド麦芽を一部使用」

とのことなので、プレモル派の方はぜひ飲み比べを。

常陸野ネストビール EXTRA HIGH(木内酒造/茨城県)

コロナ禍で県外にいる仲間や友人と会えなくなって半年。

ビデオ通話も当たり前になって、むしろ前よりコミュニケーション取ってるのでは?

なんて気がします。

 

そんな中、仲間からイカしたものをもらったので、ありがたく堪能させていただきました。

 

常陸野ネストビール EXTRA HIGH」 です。

f:id:FxSxB:20200830133412j:image

 

今や茨城を代表するクラフト、常陸野ネストビール。

エールビールを中心にさまざまなラインナップがありますが、

この「EXTRA HIGH」は、アルコール度数8%と高度数のエールビールです。

 

木内酒造さん曰く「ベルジャンストロングエール」というビアスタイルということで、

麦汁に糖を添加して発酵させることで通常よりも高いアルコール度数で醸造する、という製法だそう。

 

高度数のビールといえば最近、似たようなスタイルで「バーレイワイン」なるものを飲みました。

 

「Love Potion #9」(ストレンジブルーイング/魚沼市)

f:id:FxSxB:20200830140056j:image

「大麦のワイン」ということで、通常よりも高濃度の麦汁を発酵させて作るそうなのですが、本当にワインのようなかなり強いアルコール感と複雑な味わいで、ちょっと私の味覚では理解しきれない味でした。

 

なので、高アルコール度数という点に一抹の不安を感じながら、いざ開栓...。

 

色は濃いアンバーで、よく見るとビール酵母が沈殿して濁りがあります。

泡立ちもよく、この時点でこれは飲みごたえがありそうだなという印象を受けました。

 

香りはフルーティですが、爽やかというよりちょっとツーンとするような刺激のある感じです。

 

飲んでみると、まずフルーティな風味が通り抜けます。

爽やか〜と思いきや、これがまた結構舌を刺激するようなスパイシーな風味で、そこからホップの苦味が広がります。

そして舌の上で少し転がしてみると、砂糖を煮詰めたような香ばしくて控えめな甘味が感じられ、麦の味も堪能できます。

 

こうして見ると結構パンチがある味わいに感じられますが、特筆すべきは、8%でありながらアルコール感や濃厚さといった飲みにくいポイントが全くないところです。

麦の味もあるんですが、濃厚でコク深いという感じではなく、あくまで下支えする味わいとしてしっかりあるな、という感じです。

なので、飲んですぐに一抹の不安は泡に消えていました。

 

飲みにくさを残さないのに、しっかりと、飲みごたえのある味わいです。

 

エールビール好きだけど、なんか似たり寄ったりなものばっかりで飽きてきたな〜

っていう方はきっと虜になる一本だと思います。

 

ぜひお試しあれ!

 

緑川 北穣吟醸(緑川酒造/魚沼市)

2019年8月、会社の日本酒好きの先輩と

「米と酒 魚沼の陣」@浦佐駅に行きました。

魚沼周辺の酒蔵が集結し、酒やフードが堪能できるイベントです。

 

毎年3月に朱鷺メッセで行われる「にいがた酒の陣」は全国から酒好きが集まるビッグイベントに成長しましたが、

近年これを模したローカルの「酒の陣」が、新潟県内各地で開催されるようになりました。

 

その魚沼版酒の陣で飲んで1番美味しかった酒が、

「緑川 北穣吟醸」です。

f:id:FxSxB:20200829145746j:image

 

会場ではなぜか販売がなく、しかも特約店のみの販売なので、自分の誕生日祝いで魚沼まで足を運んで買いました。

しかし買ったは良いものの、良い酒を1人で飲むことに何となく侘しさを感じてしまいコレクション化...

(このあと徐々にコレクションが増え始める)

去年の自分のために買った酒をようやく開封しました。(苦笑)

 

 

「緑川」は県内では言わずと知れた名酒ですが、

この「緑川 北穣吟醸」は、地元の契約農家のみが作る希少な酒米「北陸12号」を使用し醸された吟醸酒だそうです。

 

この酒の1番の特徴は、米の旨味をしっかりと堪能できる奥深い味わいであるところ。

コク深い味わいですが、後からキリッと辛さがきて全体を引き締めてくれるので、後味はシャープでスッキリとしている点も面白いポイントです。

 

今回は冷酒にして飲みましたが、冷やでもじゅうぶんに旨味とキレを堪能できそうな気がします。

 

これは個人的な好みになりますが、新潟淡麗というような酒は正直いくらでもあるんですよね。そのなかで、こういった淡麗さと米の美味しさをともに兼ね備えたバランス感のある酒はなかなか出会えないので貴重だなと思います。

 

日本酒が好き!という方にぜひおすすめしたい一本です。