Uncertainty

わかったようでわからないことを書いています。

2年越しに - ②やっと会えた

2021年10月2日(土)

植田真梨恵「たったひとりのワンマンライブvol.4 会いにきたよツアー」@新潟ジョイアミーア

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2年越しに会えるという胸の高鳴りを、3ヶ月間抱き続け、ようやく迎えられたこの日。

 

実質の二部制で、昼はファンクラブイベント、夜が本チャンのライブ。

 

まずは、昼のファンクラブイベント「箱庭の集い」。

対話や接触はできないながらも、植田さんとハコニワーが交流を深める会。

「質問コーナー」に始まり、「あの一曲」、「レルヒ似顔絵争奪戦」、そしてリクエストライブという編成。

 

ファンクラブイベントなんてものが初めてすぎて一体何をやるんだろうと、ずーっと緊張していた。

 

質問コーナーは、予め募った質問に植田さんかランダムに答えていく形式で、5人くらいが質問を読まれたのだが

 

最後の一人で自分の名字が呼ばれ、しかも男性の方とまで言われてびっくりした。

 

正直、アットホームなイベントの雰囲気に合わない重めの質問を送っていたので「マジか〜」と思いながらも手を挙げて、質問を読んでもらったのだけど、

全然自分がした覚えのない質問で、「なんだこの質問〜?!」となった(なんかふしぎな質問だった)。

 

同じ名字の別の人が送った質問だと伝えたかったけど、言いづらかったし、声を出せないのもあって、なんかふしぎな質問をした人になってしまったのであった。

まあおこぼれ的に植田さんと直でやり取りできたから、良かったのかな。

 

リクエストライブでは、自分が絶対に聴きたいとリクエストしていた「クリア」をやってくれたし、出会った日に歌っていた「灯」もやってくれた。

泣きました。隣の人も泣いてた。

聴けて嬉しかった。

 

 

そして、18時から本チャンのライブ。

 

なんと最前真ん中よりの座席。

完全に目の前だった。

 

SEとともに登場した植田さんは、昼とは打って変わって、近寄りがたい雰囲気を放っていた。

ゴシックな雰囲気のワンピースに身を包んだ植田さんは鋭い眼光で、異様な気迫だった。

目線が近づくたびに、飲み込まれてしまいそうになるくらい、強烈な緊張感があった。

 

最前というのは本当にすごいポジションで、植田さんの目線も表情も、細かな身体の動き、些細なニュアンスまで、すべてを目の当たりにできた。

 

表現というものがここまで濃密に伝わる距離感があることを初めて知った。

 

とにかく目にする表現の情報量が多すぎて、曲が頭に入ってこなくなりそうになるという、今まで味わったことのない感覚に包まれた。

 

あの気迫といい、4曲目で切れた4弦といい、植田さんはかなり緊張していたのではないかなと思う。

 

そういうのが全部ダイレクトに伝わってくる距離感。

 

聴きたい曲は山ほどあったけど、「ザクロの実」「勿忘に口づけ」「支配者」が聴けてよかった。

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音源化されていない「シグナルはノー」「BABY BABY BABY」の2曲も、生で聴けたのが本当に嬉しかった。

初めてフルで聴いたけど、とんでもなく良い曲だった。メロだけじゃなく、言葉だけじゃなく、その両方がカッチリはまっている歌で、そういう歌は心に直接沁みてくる。

音源化されるのが本当に待ち遠しい。

 

聴けると思ってなかったのは、「プリーズプリーズ」「泣いてない」。

これも聴けて嬉しかったー。

 

そして、「心と体」。

やっぱりこの人はすごいな、と改めて思った。

 

歌が、ライブが、本当にむき出しの、ありのままの「人間」そのものだった。

 

今までそれなりにライブは観てきたつもりだけど、こんなに両手から溢るほどたくさんのものをもらえるライブはどれだけあっただろう。

 

箱庭の集いでは泣いたけど、本チャンのライブでは泣かなかった。

もらうものが多すぎて、それどころか、終演後は心も体も、つかえていたものが取れたようにスッキリしていた。

 

ライブ中、何度も植田さんと目が合った。

そんなものは目が合った気がするだけのライブあるあるなんだけども、

最初はすんごくドキッとして逸らしてしまいそうになったりしたけど、だんだん落ち着いて目を合わせられるようになった。

目と目を通じて伝わるものがたくさんあって、それを感じられたのが嬉しかった。

 

普通に気持ち悪いな。

 

しかしながら、ライブでこんな風にコミュニケーションを取ることができるんだ、という発見がそこにはあった。

 

正直、先行きの見えない状況下でライブをやることについて、もう割り切ってぜんぶオンラインに切り替えていった方が良いのでは?なんて考えていたりしたのだけど、

非言語のやり取りや、雰囲気や様子、身体の動き、些細なニュアンスとか、そういう要素を一体オンラインで伝えられようか?

 

当然ながら、やはり対面がすべてだ!なんてことを言いたいのではないが、どうがんばっても替えのきかない要素が、ライブにはある。

そんなことを考えさせられたライブだった。

 

植田さんのことがますます好きになってしまった、と思いながら

安心してまた会いたい、なんて思いながら

帰路へつくべく東堀通をひとり歩いた。

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2年越しに - ①出会いとこれまで

会えた。

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2021年10月2日

植田真梨恵「たったひとりのワンマンライブvol.4 会いにきたよツアー」@新潟ジョイアミーア

 

やっと植田さんにお目にかかることができた。

 

遡るは2年前。

2019年のGWに開催されたRAINBOW ROCKに行った時、一緒に行った仲間が植田さんをよく聴いていて、観ることになったのがきっかけだった。

 

植田さんの存在は、仲間が聴いていたから知っていたのもあるし、「彼に守ってほしい10のこと」がリリース時に音楽番組でプッシュされていたので耳にはしていた。

でもその当時は、"自分には縁のない音楽だな"と思っていた。

 

RAINBOW ROCKは新潟の万代を中心に、街の至る所にステージが設置されるサーキット型のフェスだ。

そのステージはライブハウスがほとんどだが、植田さんが立ったのはジョイアミーアだった。

 

「歌えるレストラン」という会場で、植田さんはギター1本で歌っていた。

あの頃はちょうどFAR/WAHをリリースしたての時期で、「FAR」「Bloomin'」「灯」を歌っていた。

どの曲も自分が聴いたことがない、とてもきれいなメロディだと感じたのを覚えている。

そして私が植田真梨恵というアーティストをもっと聴きたい!と思わされたのが、「心と体」だった。

華奢な身体から放たれるその歌は、歌という形をした「感情」そのもので、歌が持つ表現とエネルギーにとにかく圧倒されたのだった。

少なくとも、自分のすべてを吐き出すかのように全身全霊で歌う人を、他に知らなかった。

 

それから少しずつ植田さんの曲を聴くようになり、日々の中で幾度となく助けられてきた。

 

そして2020年8月にリリースした金字塔とも言えるアルバム「ハードブレイカー」に触れたことで、自分の中で植田さんの存在は特別なものになっていく。

それからの勢いは凄まじく、あっという間に全音源を入手し、「箱庭+」の会員になった。

 

あとはライブで会うだけーーーそう思いながらドキドキして申し込んだハートブレイカーツアーだったが、中止になってしまった。

 

今年に入って東名阪福に振り替える形でツアーが組まれ、ファイナルは配信で観たものの、やはりちゃんと会いたい、という気持ちが強まった。

 

それから3ヶ月後。

2021年7月、会いにきたよツアーの開催が発表された。

中止になって行けなかった場所を回るツアー、もちろん新潟も。

中止になったツアーはGOLDEN PIGSの予定だったが、今回はジョイアミーア。

 

あの日出会ったあの場所で会える。今までに味わったことのない胸の高鳴りが、この3ヶ月間ずっと続いていた。

 

続く。

 

「かくあるべき」

なんかクソ暑い思ってたら急に夏終わり出すし、

とんでもなく雨降り出すし、

バッハ様のための運動会が終わって流行り病がとんでもなく広がってるし。

 

毎日がとんでもなく目まぐるしい。

 

状況が常に二転三転し続けるから、価値基準もどんどん変わっていて、これが絶対!なんてものはもうどこにもない(というか、元々そんなものはない)んだけど、それを信じてやまない人は割といるな、と思う。

 

これが絶対!というものがあればそれを拠り所にして安心できるんだろうけど、それって自分自身を放棄することと同義なんじゃないの、と思う。

 

人間は考える葦だってカルパスだかぺんてるだかいう人が言うてたけれども、私たちは自分という思考軸を持っているからこそ生きられるわけであって、これが絶対!を拠り所にすると言うことは、自分の頭で考えることをやめる、と宣言するようなものです。

 

その、これが絶対!というのは、私のことばで言うと「かくあるべき」ってやつで、いわゆる正義とか常識とか、細かく言うと伝統とか慣習とかも含まれる。

 

こんな世界になってから余計に際立っているけれど、「かくあるべき」だけで物事を良くしていくことは、元からできないことだったのです。

ただ、それが許されていたというだけで。

 

確かに、いやこれくらいはわかるでしょ、っていう常識(という言い方も本当はしたくない)はあるけど、年齢問わずそれが通用しない人は割といるし、そういう人たちを含め上手くやっていくにはどうしたら良いんや、ということを考えていかなければいけない。

 

そういう中で、「最近の若い子」というレッテルで新しい世代がつらい扱いを受けているのを見ると、「彼彼女らが知らないことを教えるのがお前らの役目だろ!」という憤りと、それを自覚できない人たちの無能さに歯痒さを感じずにはいられないわけです。

 

今こういう世界になって、私たちを取り巻く環境や状況、それぞれが抱えている背景は多様で、曖昧で、複雑化している、ということが目に見えて現れているけれど、実際この世界以前からそうだったじゃないか。

 

だからこそ、その人の目線になって考えるだけじゃ足りなくなっていて、それまで生きてきた環境や背景をその人越しに見ながら、その人が「この世界をどのようにして見、考え、生きているか」を認めて(理解までしなくてもいい)、一緒に考えることが必要になっているのだ。

 

頑張りたいのにその頑張り方がわからなくて悩んでいる人に、「何でできないんだ!」と怒りつけても、何の解決にもならない。むしろ、教える能力がないことを自ら声高に叫んでいるのと同じだ。

そういう様を見ると、どうしてその人のフィルターを通して見てあげられないんだと悔しくなる。

 

最近常々思う。

未来を作るのは若手や子どもたちだが、大人が、特に上の方(立場、年齢)にいる人間が時代の変化に気づかない限り、社会は変わらない。

 

これは悲観ではなく、現実だ。

 

だとしたら私は、未来を作る若手や子どもたちに、「かくあってもいい」ということを伝えながら、そのあり方を一緒に考えていきたいよ。

 

"This is how we see the world"

 

open.spotify.com

Oblivion

暑い。

 

8月になった。

 

日本海を横目に、海岸線を縫うように走る。

点在する海水浴場はたくさんの車と人で埋まっていて、生活が制限されているとは思えないほど賑わっていた。

 

なんだかどこにいっても人が多い。

夏休みだからなのか、五輪開催を免罪符(?)に浮かれているのか。

 

夜中、友達の家で(睡眠を妨害するように)流れるラジオ。

箭内道彦さんの「ラジオ風とロック」で、オンラインイベントの可否が話題になっていた。

 

箭内さんは人が集まることで生まれる熱量の素晴らしさを前提にしながらも、イベントという場を含めた、「人と会う」ことのオルタナティブなあり方を、極めて冷静に話しているのが印象的だった。

 

それに対して、もう一人の話し相手の人は、久々にライブに足を運んで「これだよこれ!」と忘れていた感覚を再認識して感動した、と興奮気味に語っていた。

 

正直私は、自分も久々にライブに行けば同じ心持ちになるんだろうけど、それとイベントのこれからのあり方は同列に語れる話ではないだろ、と思った。

 

そしてその興奮を、やはりかくあるべき!と言わんばかりに推進するような物言いをするものだから、強い違和感を覚えてしまった。

 

それを制止するように、リアルで会うことだけが「人と会う」のではなくなっていることや、配信ライブ(イベント)の意義、そしてアーティストはどんな形であれ「活動」を続けなければそこで終わってしまうことを箭内さんが話してくれたので、私はこんな当たり前のことを言わなければいけないのかと思いながらも、胸を撫で下ろしたのであった。

 

でもさっきも言ったように、「感覚を取り戻す感覚」というのは本当に理解できるし、その時が来たら、自分もそうなるだろうな、と思う。

 

「人に会う」ことや「人と過ごす」こともそうだ。

私の場合は、プライベートではたった一人の友達に2、3ヶ月に1回会う以外に、誰かと同じ時間を過ごすことはない。

 

それによって孤独感(私は「相対的な孤独」と呼んでいる)を覚えることは少なくなったし、むしろ一人で気ままに過ごせる方が性に合うとすら感じるようになった。

 

そんな具合なので、友達の家に泊まるとか、長時間人と一緒にいると、どうしても疲れてしまって、一人になりたいという気持ちを隠せなくなり、最後まで楽しめない自分がいる。

 

3年くらい前までは、相対的な孤独に苛まれていて、人に会えないとかなり不安になっていた。

それが精神状態にも影響していたので、環境は人を変えるものだなと改めて思うのだが。

 

とはいえ、良くも悪くも人と過ごす時間を最後まで楽しんでいたことには変わりないわけで、そう考えると、一人に慣れすぎたことで、「人と過ごす」ことを楽しむ感覚を忘れてしまっているのでは、と思わされる。

 

正直、それをちゃんと取り戻す必要があるのかどうか、今はよくわからない。

 

今はただ、自分なりのオルタナティブな過ごし方(孤独でいること)をどんどん実践して、自分を喜ばせる方法を色んな角度から作っていきたい、ということばかり考えている。

音楽は、人

梅雨。

 

道端のあじさいが色鮮やかで、運転しながら一瞬目を奪われる、そんな季節。

 

晴天も気持ち良いけど、私にとっては空がぐずついてる方が好都合だったりする。

最近、車で海や大きめの公園に繰り出しては、エンジンを止めた車中でじっくり音楽を聴いたり、本を読んだりしているから。

窓を開けておくだけで、ひんやりとして澄んだ風を感じられるし、周囲を気にすることなく、自分の時間を過ごすことができる。

自宅に引きこもって同じことをするより、だいぶ調子が良い。

 

今年に入ってから専ら、植田真梨恵さんと90‘s〜early 00‘sニュースクールハードコア、エッジメタルを聴いている。

今日という今日もAbsone(🇮🇹)やFragment(🇺🇸, MA)などを聴いていたのだけども、昨日SCANDAL MANIA会報誌が届いたので、久々にちゃんとSCANDALを聴きたいなあと思っていた。

Absone

Fragment

(KsE初代Vo. Howard Jonesがコラボしてるやつ)  

 

車中で本を読みながら、(全アルバム、全曲好きだけど)一番好きなアルバム『HELLO WORLD』を久しぶりに聴いたら、なんか、新譜チェック程度でちゃんと向き合っていなかったからか、久々すぎて泣きそうになってしまった。

 

ああ、帰る場所があるってこういうことなんだね…!っていう意味で(大袈裟)(でも本当)。

 

それで、聴いてたらボーカルの声の響きがすごく耳に刺さることに気づいて、よくよく聴いたらHARUNAとTOMOMIのユニゾンがめちゃくちゃ綺麗に響いてて、ゾワーッと鳥肌が立った。

SCANDALHARUNAとTOMOMIがユニゾンしてMAMIがハモるのが定石だけども、よく聴くと特にサウンドが大きく変わった『STANDARD』以降でこのユニゾンの響きがより綺麗になっている。

同じメロを歌っているのに、声質で層ができている感じというか、その重なりが半端なく美しい。

 

いや、すごいよこのバンド。

 

SCANDALを聴きながら、その素晴らしさを再確認するとともに、SCANDALと自分の関係を改めて思い返していた。

私にとってSCANDALは音楽やバンドの素晴らしさを知るきっかけとなった存在で、出会ってから12年、今なお青春を彩り続けている最も大切なバンド。

どの音楽やバンドよりも数多くの瞬間に寄り添ってくれていたのはSCANDALであり、この関係性は他の誰も規定することはできないと思ってきたし、今でもそう思っている。

ただ、ここ数年で色んなことがあって、いつかSCANDAL(だけではないけど)を聴けなくなる、聴かなくなるのかな、とほんの一瞬だけ思ったこともあった。

 

でも結局それはすぐ杞憂となった。

答えはごくシンプルなことで、自分がなぜSCANDALをずっと好きでいるのか、ということである。

もちろん、彼女たちの音楽が好きであるのはそうなのだが、単なる音だけでなく、人間性やアティテュード、これまでの歩みと葛藤…SCANDALというバンドを形づくるそのすべてを、彼女たちの音楽は内包し、かつ表現している。

まさに彼女たちの音楽は彼女たち自身、つまり「人」であり、そのすべてをひっくるめて、SCANDALというバンドが好きなのだ。

 

曲が寄り添ってくれたり他者と分かち合ったりした瞬間とか、それは言わば思い出、記憶であり、あくまで自分がSCANDALを好きでいたから生まれた体験に過ぎない。つまり、自分がSCANDALを好きでいる、あるいは好きでなくなる、聴かなくなる理由とは異なる次元の話ということになる。

 

ここにあるのは、私にとってのバンドという(一方的な)二者間の関係であり、第三者は登場の余地もない。

例えばそのバンドを紹介してくれた人や、その音楽を何らかの形で共有した人など、「私ーバンド」の関係の歴史に関わる人たちが存在する。そういった人たちは、私とそのバンドの関係を決定づける上では何ら決定権を有しないのである。

 

したがって、そういった関係者と自分の関係に関わらず、自分が心から好きになった音楽はずっと聴き続けるし、逆にそういった人との関係が聴き続けることに影響するとしたら、それは私がその音楽を心から好きではないということになるだろう。

 

「音楽は人」だから。私と音楽、その二者の間の話なのだから。

 

 

なんてことを、改めて思ったのでした。

つまるところ、SCANDALが常に自分の真ん中にあるって話ですね。

あいも変わらず。

【2020】②The Feel Good Records Of The Year

年間ベストリリースに続いて、こちらでは2020年に個人的によく聴いたアルバムをまとめた「The Feel Good Records Of The Year」を発表していきます。

 

こちらからご試聴ください。↓

 

<各盤紹介>

1. 植田真梨恵「わかんないのはいやだ」(2015)

2020年はコピーをする機会があったこともあり、植田真梨恵イヤーと言ってもいいくらい、毎日聴いていました。アルバムよりもカップリングに好きな曲が多かったので自分で植田真梨恵専用プレイリストを作るほど。植田さんの特筆すべきは、心に迫る繊細かつ圧倒的な歌唱と、切なさを内包した純度の高いメロディ。バンドアレンジの曲も良いですが、植田さんの良いところを一番感じられるのはアコギやピアノの曲だなあと、聴くたびにしみじみ感じます。

 

2. Queensway「The Real Fear」(2019)

メリーランド州ボルチモアモッシュコア/ビートダウンの1st EP。2017年リリースの1stですでに話題になっていたバンド。シンプルな8ビートのパターンで攻めるスタイルで、引き算の音数が生み出すグルーヴはモッシュ必至。サウンドもVo.のスタイルもかなーりワルい感じで、ストリート感というかいなたい感じの、METALじゃないハードコアを聴きたい人に絶対おすすめ。

 

3. Renounced「Beauty is a Destructive Angel」(2019)

ロンドン産アーリーメタルコアの3rd。2020年2月に来日を果たした当バンドは、私のNo.1激推しバンド。Poison The WellやSkycamefalling等を思わす00's Metalcoreスタイルで、泣きの叙情メロや不協和音フレーズ、ブレイクダウンでニュースクーラーを感動と興奮の渦にブチ込んでくれます。時折Edge Metal的な単弦リフぽいリフを噛ませてくるところも最高。初期作はニュースクール感強めですが、2ndと今作は叙情感マシマシスタイルなのでお好きな方はぜひ。

 

4. Sanction「The Infringement of God's Plan」(2018)

ロングアイランド産アーリーメタルコアの1st mini。Edge Metalの厳格かつフューリーなリフワークと、ビートダウン系の落としを織り交ぜた、邪悪さあふれるスタイルが特徴。彼らも2020年2月に、売れっ子Knocked Looseとのツアーで来日を果たしています。

 

5. Nasty「Realigion」(2017)

ビートダウンハードコアの本場ベルギーの10年選手、6枚目のアルバム。M3.「At War With Love」を聴いて、ビートダウンハードコアに魅力を知り、沼に引きずり込まれていきました。とにかくシフトチェンジしてビートを落としていくこととサウンドの邪悪さでイカツさとワルさを追求しています。メンバーのガチな風貌にも思わず震え上がりますね。

 

6. GLIM SPANKY「SUNRISE JOURNEY」(2015)

松尾レミさんのしゃがれっぽい声と60、70年代のロックやブルースからの影響が色濃く反映されたサウンドが特徴的な2人組。最近ハマってると言ったら「今更」なんて言われましたが、トレンドに関係なく、古き良き音楽を継承しながら自分たちのサウンドを鳴らす姿勢はジャンル問わず素敵ですね。個人的に入りはこのアルバムでしたが、「grand port」みたいな亀本寛貴さんのブルースくさいギターが聴ける曲が好みです。

 

7. The Story So Far「Under Soil and Dirt」(2011)

カリフォルニア産ポップパンクのベテランによる1st。今の若手Pop Punkに絶大な影響を与えているバンド。国内だとフォーリミなんかもかなり影響受けてます。Vo. Parkerの声やメロにクセがあり、曲展開やグルーヴも独特の浮遊感があって、このバンドにしかない要素を理解するまでに時間を要しましたが、2018年リリースの最新作「Proper Dose」が洗練された内容でそこから一気にハマりました(歌詞がただのヤク中で笑いましたが)。シンガロング必至の名曲「Roam」は必聴!

 

8. TRIAL「Are These Our Lives?」(1999)

ワシントン州シアトル産ストレートエッジの1st。私は基本的に硬派なサウンドが好きなので、ポリティカル系は大好物。TRIALはハードコアの中でトップクラスに好きなバンドです。特に彼らはstop&goの展開が上手く、サウンドがヘヴィでユースクルー一辺倒になりすぎないところが最高。ポリティカル系特有のスポークンワーズ的な語りかけもあってなお良し。

 

9. Champion「Promises Kept」(2004)

こちらもシアトル産SxEの1st。超初期にTRIALのGt.が在籍していたこともあってか、同郷TRIALに通ずるものを感じます。ただこちらはモダンにアップデートしたとびきりのユースクルーサウンドで、とにかく感情のままに突っ走る!という感じです。解散ライブのDVD+CDが出てますが、youtubeでも見れるのでアツいライブを見たい人はぜひ。

 

10. Mar「Seeing Her Naked」(2012)

オランダの首都アムステルダム出身のアーティスト。情報がなさすぎて、何者なのか全然わからないし、「マー」なのか「メル」なのか読み方も不明。作品によってやってることが違うのですが、本作はChillなR&B、ジャズ、ヒップホップといった具合で、似たようなサウンドであふれる界隈の中で、聴きたいポイントをズバリ聴かせてくれる、かゆいところに手が届く的な内容です。E.SceneのVo.の人がおすすめしていたので間違いないです。

 

11. 宇多田ヒカル「First Love」(1999)

言わずもがな国民的R&B名盤。有名な数々の名曲はもちろんですが、テンテンコさんがツイートしていた「time will tell」を聴いたらめちゃくちゃよくてアルバムそのものをしっかり聴き直しました。宇多田が歌うとありきたりなことでも諭されてるように聞こえるからすごい。

 

12. 松たか子「空の鏡」(1997)

女優としても有名なこの方の記念すべき1st。小出さんが春をテーマに作ったプレイリストに「明日、春が来たら」が入っていて知りました。歌唱が素敵だし、曲展開が独特なものがあったりして面白い作品です。「lovesick」というベボベファンがピン!とくるような単語もあったり。ぜひ一度お試しあれ。

 

13. toconoma「NEWTOWN」(2017)

東京発週末インストジャムバンドの3rd。Key.、Gt.、Ba.、Dr.の4ピース構成。ジャズ、ダンス、テクノなど様々な要素を取り入れた、キレイめでゆらゆら踊れるスタイルの音楽。基本的にKey.がメロを弾くので、ビートはダンサブルでも美しく聴こえるのがこのバンドの特徴ですが、アルバムに1曲、このKey.がめちゃくちゃ切ないメロを弾く曲が入ってて、久石譲的なエモーションを掻き立てられるので好きです。

 

14 .Jimmy Eat World「Bleed American」(2001)

アリゾナ州出身、現存Emoゴッドの大ヒット4th。日本でもアサヒスーパードライのCMに起用され有名になった超名曲「Sweetness」が収録されています。Sunny Day Real  Estateの影響下でEmo化したこのバンドは、Emoキッズ御用達だった前作までの方向性から、本作でよりロック要素を増して広く親しまれるサウンドに進化しています。Emoというよりギターロックやパワーポップの側面が強くてあまりピンと来てなかったのですが、eastern youthの2マン企画「極東最前線」に出演した時(2001)の映像を見て、やべぇ...!となった次第です。

 

15. Rage Against The MachineRage Against The Machine」(1992)

言わずもがな伝説的ラップメタルの1st。Vo.のZack de la RochaはInside OutというSxEバンドでVo.をやっており、ハードコアの支持が厚いことでも知られています。学生時代から折に触れて聴くも全然理解できなかったシリーズでしたが、2020年6月に起きたBlack Lives Matterのニュースを見てモヤモヤしていた時に、たまたま誰かがツイートしていたRATMの曲を聴いたらすんなり入ってきたことを覚えています。カッコ良いんですけど、レッチリ以外の何物でもないのもまたこのバンドの面白いところ。空耳の名曲も多数生まれています。

 

16. jizue「grassroots」(2017)

京都出身ピアノインストジャムバンド。ピアノが奏でる流れるような美しい旋律と、全メンバーの卓越した技巧が生み出すグルーヴが特徴的。オーケストラとコラボしたライブも行っています。ロックのライブと言えばパッションですが、彼らの場合はそれだけでなく音による感情表現がとにかく豊か。鳥肌どころか涙してしまうくらいに感情を揺さぶるような、演奏力と表現力がずば抜けたバンドです。

 

17. Super American「Disposable」(2017)

NY州バッファロー産2ピースインディロックの2nd。Pop Punkルーツなインディロックとでも言いましょうか、勢いのあるPop Rock路線だった前作の面影を残しつつ、湿っぽすぎない、抜け感と浮遊感が心地よいインディロックを鳴らしています。WEEZER好きならぜひご一聴を。

 

18. Fugazi「13 Songs」(1989)

言わずもがなポストハードコアの開祖、1stダブルEPをまとめた編集盤。こちら長らく理解できなかったシリーズでございます。超名曲「Waiting Room」のライブ映像を何かの拍子で見たらかっけー!となったパターン。やっぱりパンク、ハードコアはライブがすべてを物語ると改めて実感させられたバンドです。

 

19. Remembering Never「Woman And Children Die First」(2004)

サウスフロリダ産叙情ニュースクール/アーリーメタルコアの3rd。叙情フレーズやビートダウンがキュンとくるブルータルな初期メタルコアスタイル。展開がカオティックぽかったり、サビでクリーンを入れたり、スポークンワーズを導入したりという要素も良い感じ。MAメタルやスクリーモポスコアが好きな人にもおすすめです。 

 

20. Shattered Realm「Broken Ties... Spoken Lies」(2002)

ニュージャージー産アーリーメタルコアの1st。極悪ビートダウンをベースにしたスタイルと、Edge Metalまでも彷彿とさせるようなSlayerインフルエンスのリフワークが特徴。Thugい雰囲気でメタルぽさもあるハードコアを聴きたいならコレ。

 

21. On Broken Wings「Some of Us May Never See the World」(2003)

マサチューセッツ州ボストン産アーリーメタルコアの2nd。最近のバンドだとAttilaが影響を公言しています。叙情パートやサビでのクリーン導入など、前出のRemembering Neverに近いスタイルではありますが、こちらはカオティックな展開というより、とにかくビートダウンしまくります。なぜかは知りませんがモッシュを煽りまくって狂乱暴行ピットを作りたかった、という意図があったとかないとか。そんなわけでライブの評判はあまり良くなかったらしいですが、音源聴く分には凶悪で最高なのでぜひ。

 

22. Morning Again「Hand of the Martyr」(2002)

フロリダ産伝説的叙情ニュースクール/エッジメタル、おまとめ盤のおまとめ盤(ライブ音源のおまけつき)。「Hand of Hope」(おまとめ盤)と「Martyr」(mini)の曲を収録。実はこの2枚の間にVo.が交代しており、その影響なのか元々の音源ごとにサウンドが異なります。「Hand of Hope」はEarth Crisis影響下のニュースクール一色ですが、「Martyr」の曲はブラストビート+単弦リフが飛び出すなど、一気にEdge Metal化しています。ただ、彼ら特有のトライバルな雰囲気は共通。私はどちらも好き。

 

23. Reprisal「Boundless Human Stupidity」(2000)

イタリア産エッジメタルの2nd。16分刻みの単弦リフ、ブラストビート、デスメタリックな低音スクリームとEdge Metalと言えばコレ!な、ど真ん中の名盤です。Edge Metalを漁っていると、あれ...これもイタリア、こいつらもイタリア!となるくらいイタリアはEdge Metalの宝庫。ベルギーやドイツが本場という気もしますが、いずれにしてもユーロ圏での交流は盛んだったのでしょうね。

 

24. 7 Angels 7 Plagues「Jhazmine's Lullaby」(2001)

ウィスコンシン州出身伝説的叙情アーリーメタルコアの超名盤1st。はっきり言って最強です。叙情パートやビートダウンはもちろん最高なのですが、彼らの特筆すべきは曲展開にあります。目まぐるしく変化するカオティック系かと思いきや、モッシュパートを用意しつつ最後は叙情フレーズで儚く消えていくという、ドラマティックで美しい展開が待っています。その素晴らしさを理解した時、メタルコアの真髄を見てしまったと打ちのめされました。解散後、一部メンバーは「メタルコアの究極形」と名高いMisery Signalsを結成しています。

 

25. Adamantium「From the Depths of Depression」(1998)

カリフォルニア州オレンジカウンティ産ニュースクール/メタルコアの1st。駆け出しニュースクーラーの今の知識だと、この手のバンドは東側に多いイメージなので、18 VisionsやScars of Tomorrow、Throwdownなどのカリフォルニアのバンドは聴くと「あ、なんか違う...」となります。具体的には、音作りやリフにどこか特徴を感じるのですが、彼らもその一つ。ブルータルでモッシュパートもありながらどこか独特さを感じるサウンドを聴かせてくれます。2ndでは叙情化していてこれもまた良し。

 

26. Endthisday「Sleeping Beneath The Ashes Of Creation」(2002)

ウィスコンシン州出身アーリーメタルコアの1st。世間一般に知られているメタルコアにより一層近づいたサウンドで、メロデス由来の叙情的なフレーズやツタツタと駆け抜ける疾走パートが何とも爽快。ニュースクールを土台としているのでビートダウン、ブレイクダウンもばっちり。デモ期に在籍していたVo.は、のちに7A7Pに加入しています。

 

27. As Hope Dies「Legions Bow To A Faceless God」(2003)

オレンジカウンティ産アーリーメタルコアの1st。これはまさに初期メタルコアということで、メロデス由来の単音リフや疾走パートに「メタルコアってこれよね!」と感じる人も少なくないのでは。時折Edge Metal的な16分刻み単弦リフを織り交ぜてくるのも最高。Endthisdayと近しい音楽性ですが、こちらの方がよりメロデス的な「クサさ」を味わえるかと思います。やはりカリフォルニアのニュースクール系譜のバンドはメタル色が強いなと感じますね。

 

28. 中山美穂「Jeweluna」(1990)

延々とハードコアを紹介しておいて最後にこちら。最近新譜リリースに伴い、サブスク解禁となりました。その中で特に良かったのがこちら12th。R&Bやジャズ、ヒップホップの要素を取り入れながら、80年代と90年代の狭間のようなサウンドがとても心地よいアルバムです。

 

ということで8割方ハードコアに染まってしまいましたが、それ以外のアーティストも最高なのでぜひご一聴いただけたらと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

【2020】①The Feel Good Releases Of The Year

毎年、年の瀬が近づくと音楽好きの皆さんが挙って1年間で良かったアルバムなどを思い思いの形で共有していますね。

私は、1年間で聴いた音楽を、2つの部門に分けてまとめています。

①The Feel Good Releases Of The Year→1年間で良かったリリース(AL、EP、SG問わず)

②The Feel Good Records Of The Year→1年間で良く聴いたアルバム(当年リリース除く)

 

こちらでは、2020年の良かったリリースをまとめた「The Feel Good Releases Of The Year 2020」を発表していきます。

 

今回からこれまでの9枚選出の方式から、プレイリスト方式に変更。

だいたいリリース順に、アルバムで一番好きな曲をプレイリストにしています。

こちらからご試聴ください。↓

 

 

ここからはリストアップした各盤について、手短にご紹介させていただきます。

試聴する際のご参考にしていただけたら幸いです。

 

1.「さよならサバーバン」GAME CENTER

Rain City金沢のEmoバンド。今作から驚きの日本語詞に挑戦。Emoをルーツにしながら、日本人に馴染みやすいフォークの雰囲気漂うリード曲「さよならサバーバン」は切なくて思わず口ずさんでしまうメロディです。フジロックの若手登竜門「Rookie A Go-go」2020では猛者たちをかき分け、見事勝者6組に選出。今後の活躍がますます期待されるバンドです。

 

2.「Intimidation」Cold Hard Truth

UK産ビートダウンハードコア、4年ぶりとなる3rd。Nastyを中心にユーロ圏のビートダウン系を聴き漁っていて出会ったのですが、殺人的なブルータリティにぶっ飛ばされたことを覚えています。ゴリゴリにイカツいサウンド、どんどん落ちていくビートに脳内は完全にモッシュピット。好きな人はがっつりハマるやつです。

 

3.「C3」Base Ball Bear

2019年のEP2作のリリースから、待望のアルバムリリースとなったベボベ。「第3期」とも言えるタイトルを冠した今作は、現体制でできるすべてを詰め込んだ、等身大の1枚になっています。4つ打ちロックから、純粋なギターロックへと昇華したとも言える楽曲群に、ベボベらしさを感じながらも今までは聴けなかったアプローチもあったりして、こういうベボベも聴きたかった!と思わされる一面も。常に成長し続ける彼らの「今」を感じられる1枚です。

 

4.「Kiss from the darknessSCANDAL

こちらも常に成長し続ける最強バンドのニューリリースです。デビュー当初より長らく在籍したエピックを離れ、ビクター傘下でプライベートレーベル「her」を立ち上げた彼女たちの渾身の1作。新曲を出すたびに、彼女たちらしさを感じさせながらも常に新しいサウンドを提示してくれますが、やっていること自体は一貫しているようにも見えます。アルバム構成は、リードトラックや起用曲からメンバー曲、アルバム曲と、安定の内容。ボートラはどこか懐かしさを感じさせる雰囲気もあり、新旧ファンともに楽しめるアルバムになっています。

 

5.「The Other Side」MALEVOLENCE

2019年に来日を果たしたUK産ビートダウンハードコアのシングルリリース。わずか3曲のリリースですが、1曲1曲の存在感が半端ない。これまでのデスメタリックな技巧フレーズは残しつつもスマートに落としていく曲展開は圧巻。次世代ハードコアを間違いなく代表するクオリティです。今や売れっ子のKnocked LooseのVo.をFeatureした曲も収録されています。

 

6.「We Are The Sun!」TAMTAM

東京発フィールグッドなバンド、2年ぶりのアルバム。鎮座Dopenessをfeatureしたリードトラックから幕開けとなる今作は、ジャズ、レゲエ、R&B、アフロ…と彼ららしい多様性あふれるサウンド。とりわけ今回はレゲエ・フィーチャーな曲が多く並び、ダンスチューンもありながらもゆったり聴ける1枚。

 

7.「EVERYNIGHT」Age Factory

奈良が誇るロックバンド、移籍後初リリース。かつて傘下レーベル「DAIZAWA RECORDS」からきのこ帝国などを輩出したUK Projectから放つ今作は、ロックとパンク両方に影響を受けてきた彼らのすべてを曝け出した恐るべき内容。ELLEGARDENを彷彿とさせるポップパンクソングから、「誰も攻撃しない攻撃性」を纏ったハードコアチューン、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんをFeatureしたEmo/Post Rockソングまで、パンク好きのツボを各方面から永遠に突きまくる強烈なアルバムに仕上がっています。「未来」をしっかり見据えつつ、あらゆる角度から一貫して「刹那」について歌う彼らの表現から目が離せない。

 

8.「I know, right?」Ayuttheya

東京発オルタナバンドの3rd EP。Vo&Gtの太田美音は、今や有名人ほな・いこか(ゲスの極み乙女。)との2ピースバンド「マイクロコズム」のメンバー。Ba.はnenemの右田眞、サポートメンバーも東京インディ界隈の名だたるメンバーで活動を行ってきた。特にGt.はアラカワシ(deid、Veltpunch)や藤谷真吾(1inamillion/SLEEPLESS)と、Emo系のギタリストが名を連ねる。こうしたEmo/Post Rockを土台としたサウンドと、ポップに響く太田さんの歌声が特徴的。流行りとはちょっと違う感じだけど、思わず口ずさんでしまうような歌を求めてる人には絶対聴いてほしいバンド。

 

9.「To Myself」Baby Rose

ジョージア州アトランタ出身の R&Bシンガーソングライターの1st。低めながらふくよかで力強い歌声が、ニーナ・シモンサラ・ヴォーンを思わせると話題になっている25歳の超新星。彼女自身も作曲に携わっていますが、ポップになりすぎないメロディと、変拍子なども取り入れたエッジのある曲展開が秀逸。それでも全体的にChillな曲の雰囲気はここ最近の空気感に近いところを感じさせるので、とっつきやすさはあると思います。

 

10.「you'll be fine」Hot Mulligan

ミシガン州ランシング出身のEmo/Pop Punkの2nd。2nd Emoリバイバルの流れから、Emo/Pop Punkをハイブリッドしたサウンドを鳴らすバンドはGrayscaleなどが頭角を現すようになりましたが、そういったバンドの中でも際立っていたのがHot Mulliganでした。Emo/Pop Punkのブレンド感も絶妙なのですが、Vo.のしゃがれ声とリフの渋さ、そして音の抜き方が明らかに他のバンドを卓越しています。確かにクセはありますが、それがハマる人もいるんじゃないかと思います。

 

11.「California Cursed」DRAIN

カリフォルニアはサンタクルーズ産クロスオーバーの1st。スラッシュメタル・インフルエンスなザクザクリフにPower Tripが脳裏をよぎりますが、こちらは疾走系というよりかは、ニュースクール的なビートに重点を置いたハードコアをベースにしたサウンド。Vo.の叫びがエッジがあって聴きごたえあります。あのハードコア芸人ゆってぃも大推薦の1枚です!

 

12.「A Truth We Still Believe」Ecostrike

サウスフロリダ出身ユースクルーの2nd。USでは名門Triple-Bよりリリースですが、なんと日本限定でRetributeより初のCD盤リリースとなった1枚。Youth of Todayのカバーを収録しているだけあり、それはもうクラシックなユースクルースタイルなのですが、音作りがヘヴィでとても聴きごたえのあるサウンドに仕上がっています!オールドスクールは音が軽くて…という人も、これを聴けばユースクルーが好きになること間違いなし!

 

13.「Mukiltearth」The Fall of Troy

ワシントン州プログレッシブ・ポストハードコア、再結成後2作目となるアルバム。「Doppelganger」の頃と比べると、カオティックな展開は鳴りを潜め、プログレッシブではあるけど聴きやすい雰囲気になっています。しかし独特の変拍子リフやメロ感は健在で、俺たちのFall of Troy!を感じることができます。再結成後は自主製作でのリリースで、日本には音源の流通が全くないという厳しい状況…そのうち何とかして輸入します。

 

14.「No Blame... Just Facts」Pain of Truth

ロングアイランド産タフガイ/ビートダウンハードコアの1st EP。Out For Justice、Rain of Salvation等のメンバーによるバンドのデビュー作は、ヒップホップの影響が垣間見えるストリート感あふれるサウンドに仕上がっています。洗練されたサウンドよりもいなたい感じが好きな人に絶対おすすめします。Biohazard等好きな人にも!

 

15.「Pink Elephant」Stand Atlantic

オーストラリア産女性Vo.ポップパンクの2nd。ストレートなPop Punk/Pop Rock全開だった前作からかなり洗練されたサウンドで、バンドとして非常に大きな成長を感じさせる作品となっています。Vo.のエフェクトやアレンジとしてのシンセワークは、パンクの枠組みを超えてポップスとしても聴ける形に仕上がっていますし、モダンさをより引き立てる役割を担っています。グラミー賞にPop Punk部門があったら間違いなく受賞するレベルのクオリティです。

 

16.「20/20」Knuckle Puck

シカゴを代表するポップパンク、待望の3rd。前作からハードコア要素を抑えてPop PunkとしてEmo的な方向に洗練させた雰囲気ではありましたが、今作はその流れを汲んでよりエモーショナルさを増した内容になっています。先行リリースされていた数曲はまさにKP節なメロディやPop Punkのタテノリ的なビートが炸裂していますが、アルバム全体的に、メロやリフ、アルペジオのエモーショナルさに重点を置いている感じがあります。KPと言えばサビでビートが落ちる展開ですが、「Into the blue」のサビではそういう表現もできるのか!と、展開の美しさに圧倒されます。

 

17.「Big Vibe」Seaway

カナダ産ポップパンクの4th。前作から雰囲気が変わり、Pop PunkとIndie Rockのハイブリッドというか、Pop Punkにしては抜けたサウンド、Indie Rockにしてはパワフルみたいな感じで、歌メロが突き抜けてポップっていうもう唯一無二な彼ら。前作の方向性を汲みながら、ちょっと落ち着いた一面もある作風に仕上がっています。海岸線のドライブに持って来いな1枚。

 

18.「Young Culture」Young Culture

売れっ子State Champsの同郷、NY州オールバニー産ポップパンク/ポップロックの1st。待望のフルアルバムはs/t。個人的にもっと聴かれるべきと思っているバンド。メロのポップセンスとか、グルーヴ感がとにかく最高。その辺のフレームなぞってるバンドよりも良い曲書いてると思います。名門Equal Visionからのリリースなのですが、国内の流通が全くなくてとにかく音源が入手できないバンドでもあります(今回は公式から直輸入しました)。

 

19.「いいこのバースデーソング」植田真梨恵

アルバム「ハートブレイカー」のリリースもありましたが、個人的に刺さったのはこちらでした。植田さんバースデー25時間生配信にて即興で作り上げた1曲。ベース始まりのイントロが何ともドキドキしますし、シャッフルのハネるビートが誕生日の楽しさや喜びをうまく表現しています。やっぱり植田さんが書いた曲が聴きたいんだよなあと実 感した1曲でもあります。

 

20.「I Am Panda」Chiminyo

UKのジャズドラマーTim Doyleによるソロプロジェクト。ドラムセットとラップトップを同期させ、ドラマー1人で音を鳴らすというスタイル。彼が影響を受けているジャズやヒップホップにエレクトロのサウンドを加え、流行りのChill Hopとも異なる雰囲気の、オリジナルなグルーヴを生み出しています。ドラムが持つ音楽への可能性を大きく広げたスタイルはこれからも目が離せません。

 

21.「Scattering of My Malice」xEDENISGONEx

国籍不明、あらゆる詳細が一切不明、クラシカルなエッジメタルを鳴らす謎のプロジェクト。とあるハードコアのコンピの紹介には「from Japan」の表記がありましたが、その真偽は不明。サウンドはとにかくクラシカル、厳格なEdge Metal。ReprisalやMaroonを彷彿とさせるような単音リフ、ミリタント要素はめちゃくちゃ最高です。本当に2020年の作品か?と耳を疑うレベルのクオリティ。

 

22.「Paint My Memory」Somerset Thrower

ロングアイランド産インディパンクの2nd。ハードコアの名門Triple-Bからのリリースで、ジャケからしてハードコアではないことが一目瞭然でかなり???でしたが、メンバーのつながり的なものでのリリースだったようです。サウンドは、EmoやPop Punk、Post Hardcoreのグルーヴに、グランジ的なリフや気だるいボーカルをブレンドした感じ。ありそうでないスタイルが新鮮で面白いです。

 

23.「A Piff in Time: 2012-2016」Crucial Dudes

ニュージャージー産ポップパンクの編集盤。みんな大好きCrucial Dudesが2012~2016の間にシングルやスプリットに収録していた曲をまとめたものです。2011年の超名盤以降、まとまったリリースがなかった彼らの曲を聴ける貴重なリリース。1stのハードコア的な勢いは抑え気味。Vo.も叫びではなくメロディックに切なく歌い上げる感じで、全体的にEmo要素強めな雰囲気が漂っています。これはこれでアリ。

24.「No Pressure」No Pressure

The Story So FarのVo.、Parker Cannonを中心に、Light YearsやRegurate、Trail of lies等のメンバーで新たに結成されたバンド。語弊を恐れずに言うならば、TSSFのドラムをオールドスクールにした感じ。言葉にすると「なーんだそんなもんか」って感じですが、実際聴くとこういうバンドいないなと感じるし、Parkerのボーカルでこういうストレートなサウンド聴きたかったなって思います。そして驚異のICE GRILLSよりリリース。これは本当にすごい。

 

25.「Weight of the False Self」Hatebreed

俺たちのハードコア兄貴、コネチカットモッシュコア/メタルコアの9th。メタルの影響を受けながらもハードコアであり続ける彼らの最新作は、タフガイという言葉が本当に似合う。メタル的なアプローチを感じさせながらも、土台はNYHCなので落としがある曲もあれば、疾走パートもあるので間違いなし。こういった作風でコンスタントに作品を出し続けられるのは本当にすごいと思う。

 

26.「オレンジ / pray」赤い公園

率直に言えば津野さんきっかけということになりますが、新しいリリースがあったので聴いたらとても良い曲でした。大好きな小出さんと関係が深いバンドなので存在は知っていたし、石野さんが加入した時もびっくりしましたが…曲そのものが切ない曲なので、どうしても出来事と重ねて聴いてしまいがちですが、そういうものを抜きにしてメロディが綺麗で良いなと思いました。4月にリリースされたアルバムも良くて結構聴いていました。

 

27.「Cost of Sacrifice」Chamber

テネシー州ナッシュビル産カオティックメタルコアの1st。2019年リリースの編集盤はEarly Metalcore+カオティックといった感じでしたが、今作は一転してブルータルに、メタル度よりもハードコア度を大きく増した内容になっています。時折飛び込む疾走パートは健在ですが、全体的にBPMは落としめで、特に落としがビートダウン系のようにゆっくりとだんだんシフトチェンジしていくスタイルで、前作とは大きく異なるアプローチ。シビれます。

 

だいぶ長くなりましたが、気になる部分だけでも拾って参考にしていただけたら。

2021年も、皆さまのそばに良い音楽があらんことを。